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森羅が受け取ったことを確認すると
木材が纏っていた風が消える。
お互い次もある。
ここで話を切り上げようと、踵を返そうとした時、


「葵小隊長」

『何?』

「先程は、ありがとうございました」


恐らく、ぶつかった事だろう


『いいよ。さっきのは、私にも非はある。次、気を付ければ良いだけだ』

「いえ、その事じゃ…。あの鎮魂の中で、飛んで来る瓦礫に気付けなかった所を助けて頂いたので」



そう言えば、饅頭のおばちゃんを背負って、屋根の上に居たことを思い出す。



『気になくていいよ。それが仕事だから』

「でも、おばぁさんと自分が無傷だったのは事実です。ありがとうございました」



感謝を口にできる子だ。
そう言った事が、当たり前にできる子は好きだ



『初めて見る者からしたら、アレに驚くのも当然だ。
それで、呆然として、反応できなくても仕方のないことだ。
自分を責めなくてもいい。
君は…、アレをどう感じた? やはり野蛮と……』



俯く森羅。



人は己の理解の範疇を超えたものを恐怖する。


分からないは、怖い


怖いは、危険


だから、敵視し、迫害、弾圧する。



森羅の言葉を待った。
その口が発する内容が何であれ、受け止める覚悟はある。


「………最初は、なんて滅茶苦茶するんだって思いました。
でも、やり方が違くても、命を大切にしてる事はわかりました」


まっすぐ見つめてくる目。
違うという現実を突き付けられても、それを受け入れる。


高潔な子だ


『君はいい子だね…』

「え?」

『いや、何でもない。飛ぶときは、もう少し高めの高度で飛ぶように』

「はい!」



元気のいい子だ。
失礼します、と踵を返した森羅は、言われたように少し高度を上げて飛んだ。


「本当にいい子ね」


短く笑みを溢す。
葵は、空に消えていくのを見送った。

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たんぱく質(プロフ) - なーちゃんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるだけで、励みになります。できるだけ早くお届けできるよう頑張っていきます。 (2020年6月3日 21時) (レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
なーちゃん - 紅丸大隊長、大好きなんです!書いてくれてありがとうございます!続き待ってます! (2020年6月2日 8時) (レス) id: 7840b2b58c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たんぱく質 | 作成日時:2020年5月24日 19時

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