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お兄の薬が切れそうということで
灰島と取引のある薬屋から帰ってきたのだが。
詰所が何やら騒がしい。

まさか、喧嘩か?

一抹の不安を覚える。
恐る恐る暖簾を押し上げると、知らない顔が6つ。
左肩に“8”のエンブレム。


『どういう状況?』

「おっと、怖いのが変えて来たぞ」


ニヤリと笑う紅丸を他所に、視線を紺炉に向け説明を求めた。
聞けば、先日の大隊長会議の議題となっていた
伝導者がらみで浅草(ウチ)押しかけて来たらしい。
しかも、こちらの返事も待たずにだ。
なんと非常識で、無礼な集団か。


躾がなってないな…


右手がパキッと音を立てる。
この人数なら10秒で事足りる。
最初にあの大男を潰して、士気を下げる。
その隙に……と、的確に潰す方法を考えていくが現実に戻される。


「葵」

『っ。ごめんなさい…』

「抑えろ」

『はい…』


紅丸の後ろで紺炉に注意される。
お兄に注意されるくらいだ、相当殺気立っていたのだろう。

再度、第8と紅丸のやり取りに視線を戻す。
紅丸に啖呵を切る黒髪の少年。

肝が据わっているのか、はたまた馬鹿なのか…


「火事と喧嘩は江戸の華ってか…?」


これは喧嘩になるなと確信する。
が、警鐘が割って入ったことで事なきを得る。


「若が縁起でもねぇこと言うから…」

「クソッ。俺が戻ってくる前に消え失せろ」


と、残して暖簾向こうに消える。


「葵。お前も行け」

『了解』


紅丸に続いて第8の横を抜けた。
その時に、見覚えのある顔があったような気がする。
外に出て、若の隣に並び立つ。


「紺炉と何話してた?」

『大したことじゃない。で、誰なの?』

「…勘太郎だ」

『そう…』

「手、出すなよ」

『分かってるって。そっちこそ、あまり派手にやらないでよね。
後始末、大変なんだから』


が、こっちを見ないのでため息が出る。
葵は近くの一番高い屋根に上がる。

この高さならある程度は見えるな。

紅丸に一瞥を送れば
炎の槍が葵の周りを舞う。


「始めるぞ!祭りだ‼‼」


と、紅丸が叫べば屋根の合間から、頭を見せる纏たち。
そして、紅丸の手から放たれた纏が家々を吹っ飛ばす。


歓喜の声が上がる。


爆風で瓦礫が舞い上がり
関係ない家屋や避難した住民の方向へ飛んでいく。
それを穿つように、槍が縦横無尽に粉塵の中を飛び回る。



「もしかして、あの人は…」



粉塵の合間から見えた葵の姿に誰かが溢した。

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たんぱく質(プロフ) - なーちゃんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるだけで、励みになります。できるだけ早くお届けできるよう頑張っていきます。 (2020年6月3日 21時) (レス) id: aad2ad7f17 (このIDを非表示/違反報告)
なーちゃん - 紅丸大隊長、大好きなんです!書いてくれてありがとうございます!続き待ってます! (2020年6月2日 8時) (レス) id: 7840b2b58c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:たんぱく質 | 作成日時:2020年5月24日 19時

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