136話 ページ42
『何、それ．．．』
呆れたように笑っていた。
『．．．まあ、何にせよ。私はあいつの手は取らないよ』
いつの間に書き終えていたのだろうか、彼女は日誌と鞄を持って立ち上がった。
『今更、誰かの手の取り方なんてわからないしね．．．』
「！」
彼女に釣られるように立ち上がった僕。
引いた椅子の音に掻き消されてしまいそうな小さな声だった。
溢すように放たれた小さな小さな本音。
僕はそれをなんとか取り溢さずに済んだようだ。
「A！」
『？』
「わからないなら伸ばせばいいんだよ！
手の取り方が分からないなら、君も同じように手を伸ばせばいいんだ！
そうしたら、彼がきっとその手を取ってくれるからっ。
届かなくなってからじゃ遅いんだ。
見えなくなってからじゃもっと遅い。
手を伸ばすのが怖いなら叫べばいい。
この手を取って、って！
声が震えるなら笑えばいい。
彼ならきっと気付いてくれる！
だから、だからお願いだよ．．．。
そうまでして自分を殺さないで．．．っ」
『．．．』
君は知らないんだね。
生まれた時から握られていた手は離された。
少し強引に掴まれた手は振り解かれた。
引かれた手も気付けば消えた。
いつだって君は君の意志とは関係なくその手を取られていた。
手の伸ばし方は知っていても、取り方なんて知らないよね。
今まで饒舌に並べられた言葉達も、今の本音を隠す為の本音だったんだね。
嘘を笑顔で隠す君は一番知られたくない本音は別の本音で覆い隠す。
だから誰も気付かない。気付けない。
それに気付くのはいつだって、君が壊れてしまった時だ。
でもね、A。言っていいんだよ。
君が心からそれを望むのなら。
始めてだったんでしょ？
君自身も気付かぬ内に、心の一番深い所でそれはすくすくと成長を続けてた。
気付いた時には、それは芽を付けて開花しようとしていた。
だから君はそれを押さえつけて、咲かないようにしたんでしょ？
「A、言ってよ．．．。
このまま枯らしちゃだめだ。
ねえ、怖いなら、僕だけに聞かせて。
僕だけしか聞かないから．．．」
ユラユラと瞳を揺らす君の腕を引く。
折れてしまわないように、そっと細い体を抱きこんだ。
「大丈夫、誰もいないよ。
僕達だけだ。誰もいない．．．。
だから、ほら．．．言って？」
枯れてしまう前に．．．＿＿＿
『．．．．．．――』
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SHINKAI(プロフ) - 弁財天ちゃんさん» こんばんはです弁財天ちゃん！コメント励みになります。ありがとうございます！頑張って更新していくので、続きをお楽しみにしていてください！ (2019年2月4日 1時) (
レス) id: 1540b5aafe (このIDを非表示/違反報告)
弁財天ちゃん - SHINKAIさん» SHINKAIさんこんばんは弁財天ちゃんです！！夜分遅くでもお仕事ご苦労様です(*^_^*)先程の内容を読ませて頂いたところヒロインは焦凍の告白に何故か答えられない要素がありますが一体どうしてなのか気になりますね(-""-;)また今後の内容をお待ちしてます！！ (2019年2月3日 20時) (レス) id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
弁財天ちゃん - SHINKAIさんおはようございます弁財天ちゃんと言います不束な点がございますがよろしくお願いいたします！！最近第三段製作おめでとうございます(*^_^*)！！此れからも忙しくなりますが影ながら応援してますのでまたの内容をお待ちしてます＼(^_^)／ (2019年1月17日 7時) (レス) id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
SHINKAI(プロフ) - いまづきさん» ありがとうございます！頑張って更新していきます。 (2019年1月6日 23時) (レス) id: 1540b5aafe (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - 面白かったです！再新頑張ってくださいp(^-^)q (2019年1月6日 20時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2019年1月6日 4時
