96話 いらない子 ページ1
『轟は、さ．．．
私の事聞いて嫌いになったりしない？』
「．．．先に嫌い発言した奴の台詞とは思えねえな」
『そ、それは終わった事だもん．．．』
「俺の中では終わってないけどな」
『機嫌でも悪いんですか！？轟くん！？』
私の切実な叫びをわりぃの一言で終わらす轟
君絶対悪いと思ってないだろ．．．
「．．．夜月」
『？』
私の髪をするりと撫でる轟
最近スキンシップが多い気がするなぁ．．．
「嫌いになったりなんてしねえ．．．
聞かせてくれ、夜月の事」
『．．．！』
轟の言葉にホッとした私は
自分の膝を抱え込んで縮こまった
小さく息を吸って吐く
何度か同じ事を繰り返して意を決して口を開いた
―――
――
ー
今から15年前
とある小さな病院で、新たな命が生まれ落ちた
空色の髪に金色の瞳を持った美しい女性はたった今産まれた我が子を抱きしめた
産まれてきてくれてありがとう、と
私達を親にしてくれてありがとう、と
涙を流して笑っていた
父親であろう男性は、少々くせのついた黒髪に琥珀色の瞳を持っていた
男性は愛しい妻と、彼女に抱かれる赤ん坊を見て大粒の涙を溢した
小さな赤ん坊ごと妻を抱きしめた
何度も何度もありがとう、と
女性はそんな夫に手を伸ばす
自分の好きな癖のついた髪を撫でてあげようと
しかし、女性の手は彼に届くことなくシーツの上に落ちた
途端に、女性の体から力が抜け落ちた
男性は慌てて妻を支えるが、腕の中の妻は息も絶え絶え
それを見た医者が慌てて女性に駆け寄った
男性は唖然とする中病室の端に立ち尽くした
数分か数十分、慌しく動いていた医者達がぴたりと動きを止めた
男性は愛しい妻に駆け寄った
しかし、男性がそこで見たのは固く瞼を閉じた妻の姿
いつもの柔らかな笑顔はどこにもなかった
柔らかな頬に手を伸ばすと消えかけの体温が残っていた
男性は大声で泣き叫んだ
誰も彼を止めるものなどいない
一つの命が産まれた
一つの命と引き換えに
あまりに残酷な運命に、彼は耐えれるだろうか
彼女は、耐えれるのだろうか．．．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
SHINKAI(プロフ) - 弁財天ちゃんさん» こんばんはです弁財天ちゃん！コメント励みになります。ありがとうございます！頑張って更新していくので、続きをお楽しみにしていてください！ (2019年2月4日 1時) (
レス) id: 1540b5aafe (このIDを非表示/違反報告)
弁財天ちゃん - SHINKAIさん» SHINKAIさんこんばんは弁財天ちゃんです！！夜分遅くでもお仕事ご苦労様です(*^_^*)先程の内容を読ませて頂いたところヒロインは焦凍の告白に何故か答えられない要素がありますが一体どうしてなのか気になりますね(-""-;)また今後の内容をお待ちしてます！！ (2019年2月3日 20時) (レス) id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
弁財天ちゃん - SHINKAIさんおはようございます弁財天ちゃんと言います不束な点がございますがよろしくお願いいたします！！最近第三段製作おめでとうございます(*^_^*)！！此れからも忙しくなりますが影ながら応援してますのでまたの内容をお待ちしてます＼(^_^)／ (2019年1月17日 7時) (レス) id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
SHINKAI(プロフ) - いまづきさん» ありがとうございます！頑張って更新していきます。 (2019年1月6日 23時) (レス) id: 1540b5aafe (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - 面白かったです！再新頑張ってくださいp(^-^)q (2019年1月6日 20時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SHINKAI | 作成日時：2019年1月6日 4時
