第177話 ページ33
「つーか
さっきのなんだよ」
『？』
「あ！俺もびっくりした！」
『なんの話？』
右にゴン、左には肩を組んだキルア
間に挟まれたAは困惑だ
「さっきプレイヤーからカード奪ったでしょ？」
『え？ああ、うん』
「Aがわざわざ動くの珍しいな、って」
『そう？』
「そうだろ
お前基本的に必要以上のことはしねーじゃん」
『そうなの、かな．．．？
自分じゃよくわかんないけど．．．』
口元に手を当てて考えるそぶりをするAの横顔を見ながら、キルアはそれに．．．、と言葉をつづけた
Aの視線がキルアに向き、至近距離で目が合う
「．．．あん時狙われたのは俺、だったのに．．．」
『．．．それは
．．．キルアだったから、だよ』
「え？」
「どういう意味？」
キルアだったから、と言ったAの視線はまたも前に戻る
『．．．ゲームを始めてすぐの時、キルアにスペルがかけられたでしょ？』
「ああ」
「うん」
『あの時は何が起きてるのかわからなかったし、その後ボマーの事件もあった
正直、すごく怖かったの』
「「．．．」」
『大丈夫、ってわかっても不安だった
．．．だから、あの時は無意識だったというか．．．
でも、多分．．．あの時狙われたのがゴンでも、私はきっと動いてた
守りたいの
2人のこと』
「．．．」
「A．．．」
ぎこちなく笑みを浮かべた横顔に、ゴンとキルアはお互いに笑みを浮かべる
「俺！強くなるからね！」
『え？』
「Aのこと守れるくらいに強くなる！
心配もさせない！」
『ゴン．．．』
「だからお前はちゃんと自分の心配してろよ」
『キルア．．．』
「お前俺たちのことには過保護のくせに、自分のことには無頓着なところあるからな」
『．．．』
「ま！お前のことは俺らが面倒見てやるから心配すんな！」
『．．．ふふ、何それ
．．．ねえ、ゴン、キルア』
「「ん？」」
『私ね、2人に会えてよかった』
「「！！」」
『2人に会えて、友達になれて
ここまで一緒に来れて、本当によかった．．．』
2人の前に一歩踏み出したAに合わせて、ゴンとキルアの足が止まる
柔らかい風が吹いて、涼しげな香りが2人を包んだ
青藍がふわりと揺れる
2人の目に映るAは優しげな笑みを浮かべている
『ずっとずっと、この先も一生
大好きだよ』
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年9月9日 19時
