エーデルワイスを君に4【HUNTER×HUNTER】 (ページ22)

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第166話ページ22

『．．．ぇ？』

突然横から聞こえたセンリツの声

名前を呼ばれたクラピカはこちらを見もしない
動いたAの視線を許さないように、クラピカの手がAの頬に伸びる

見開かれたAの瞳とは正反対に、クラピカの瞳は閉ざされていた

一瞬のようで、とても長い時間のように感じられた
まるでスローモションかのように

「．．．」

俺は今、映画のワンシーンでも見ているのだろうか

レオリオside終了

引き寄せられるように添えられた頬から、まだ熱があるであろう彼の体温が感じられた

鷲色の瞳は今は閉じられていて、長いまつ毛がよくわかる

金糸のような髪が顔に当たってくすぐったい

唇の端に感じる僅かな体温と柔らかさは、一体．．．

『．．．』

数秒ほど経って、クラピカの顔が離れる

呆然とその姿を見つめていると、私からの視線に気づいたクラピカが優しく微笑んだ

そしてサラリとわたしの髪を一撫でし、一言「また会おう」と言い背中を向け歩いて行ってしまう

慌ててクラピカを追いかけるセンリツに何やら謝られたが、うまく言葉を返すことができなかった

「行っちまったな」

飛び立った飛行船を見上げながら、隣に並んだレオリオがつぶやいた
視線を空から地面に移す

「あー．．．その、なんだ」

何も話さない私に、レオリオが戸惑いがちに話し続ける

「あいつ、あれで結構切羽詰まってたみたいだしよ
　許してやってくれ」

『．．．』

何となく、唇の端に触れてみる
まだ少しあの時の感触が残っているような気がした

「．．．お前も」

私の顔を覗き込んだレオリオが、安心したような揶揄うような声で私に言った

「そんな顔するんだな」

『っ』

私はやたら熱を持った顔を両手で隠しながら横のレオリオに蹴りを入れる

「イッデェｯ！！！？？

　何すんだA！！」

『うるさい！』

一刻も早く熱を消したくて、なるべく風を強く受けるように走り出す
後ろの方で置いてくなよ！という声が聞こえたが、お構いなしに足を動かし続ける

顔に当たる風で、口角に残っていた感触は消えてしまったが
脳裏に残る彼の笑顔は消えない

『(あんな嬉しそうに笑わないでよ．．．っ)

　あ゛ああ〜〜〜っ！も〜〜〜！！！』

結局宿までレオリオを置き去りに走るハメになった