第156話 ページ12
「5年ほど前緋の目のクルタ族を虐殺した時すでにお前はリーダーだったのか？」
「．．．」
何も言わないクロロに、クラピカは怒りをあらわに刃を向ける
「それがウボォーを殺した鎖か
ウボォーは最後になんと言っていた」
「覚えていないな」
「嘘だな
だろ？お仲間さん
気持ちはわかる、俺も同じだ
お前に話すことなど何もない」
「クラピカ、挑発だ乗るな！」
緋の目が真っ赤に燃え上がり、今にもクロロを殺しそうな勢いだ
「A、クラピカを止めろ！」
『．．．』
レオリオに呼ばれ、足元の毛玉がのそりと起き上がる
『．．．ｸｩﾝ．．．』
「．．．！」
怒りで震えるクラピカの膝に顎を乗せ遠慮がちに声を上げる
小さな声ではあったが、クラピカの意識が足下に移る
膝にはわずかな温もり
獣の瞳が彼を見つめている
『．．．』
「．．．っすまない．．．」
ようやっと落ち着いたのか、緋色は形を潜める
クラピカはAを両手で優しく撫でる
「．．．A、か．．．」
『．．．』
「まるで人に接するようだな」
「貴様、気安く名前を呼ぶな」
「俺が誰の名前を呼ぶも呼ばないも俺の自由だ
違うか？」
せっかく落ち着いたクラピカをまたもや挑発するクロロ
レオリオが再度止めようとする前にAが動いた
「！」
「A？」
『．．．』
クラピカとクロロの間を埋めるように座席に上がったのだ
そして驚くクラピカの顔に擦り寄りペロリと一舐め
落ち着け、と言われているのがわかったクラピカはクロロから視線を外す
「なるほどな
飼い慣らされているのは人の方か」
『．．．』
まだ続くクロロの挑発
いや、これはAの気を引くためのもののようだ
その証拠に自分の方を向いたAを見て口角を上げている
「その姿は2度目だな」
『(コイツいらんこと言いやがって．．．)』
「「「！？」」」
案の定驚く3人
Aは尻尾を振って3人に気にするな、と合図を送る
戸惑いは残るものの、3人は視線をそれぞれ戻した
「人の姿も魅力的だが．．．これはこれで惹きつけられるものがある」
『．．．』
「まさか鎖野郎と繋がっていたとは思いもしなかったが」
「！！」
「A！！」
『．．．』
クロロは一気にAと距離を縮め、耳元に口を寄せる
「お前は、俺が奪うぞ」
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年9月9日 19時
