エーデルワイスを君に2【HUNTER×HUNTER】 (ページ33)

今日:1 hit、昨日:20 hit、合計:35,817 hit

第78話ページ33

ネテロとの修行を開始してわずか3週間
天空闘技場でゴンが大怪我をした頃、Aは．．．

「ふむ
　(流石の一言じゃな)」

『．．．』

念の基礎、応用共にほぼ完璧に習得済みであった。

「わしがもう教えることはほぼないのぅ

　あとは、実践をひたすら積むのみ」

『実践』

「うむ
　ではA！お主にわしからの最終試験を言い渡す！」

『はい！』

と、ネテロに言われたのが今から5時間前のこと。
Aは今、協会の飛行船を降りとある街にやってきていた

『約束の時間まであと3時間
　よし．．．まずは服の調達だな』

ネテロに言い渡された最終試験とは、ハンター協会に依頼された仕事を遂行することだった。
依頼内容は要人の護衛。
相手はネテロの知人らしく、明日の夜に行われるパーティーでボディーガードをしてほしいとのことらしい。

まあ、言ってしまえばネテロのパシリとして来たのだ。

今日の夕方5時、今から3時間後に依頼主の滞在するホテルに行かなければならないのだが
あいにくAはスーツもドレスも持っていない

ので、まずは買い物をするようだ

『この場合スーツの方がいいのか？
　女だからドレス？

　うーん．．．わからん』

いつの間に買ったのか、Aはリンゴを片手にうんうん唸りながら歩く

街は賑やかで、そんなAを見るものは誰もいない

『．．．うん
　動きやすさ重視でスーツで行こう

　用心棒だしそっちの方がいいでしょ』

初めてのハンターとしての仕事に、少なからず浮き足立つA
りんごの芯をゴミ箱に放り投げ、青に変わった信号を駆け足で渡り切る

その時だった．．．

「危ないっ！！！！！」

『！！』

点滅する信号を渡ろうとしたのだろう小さな男の子が、道路の真ん中で転んでいたのだ

そこに、猛スピードで走ってくる1台のトラック

子供の母親であろう女性が駆け寄ろうとするのが見えたが
あれでは到底間に合わないだろう

そんな事を思いながら
Aの足はもう少年に向かって動き出していた

「．．．」

「きゃあああああっ！！！」

耳をつん裂く叫び声
トラックは少年の数m先で止まる

その場が一瞬静寂で包まれたかと思うと、1人の声が周囲の人間の耳に届いた

『やあ少年
　怪我はないかな？』