第49話 ページ4
扉の向こうから聞こえた絶叫。
そのわずか数秒後、扉が開かれ骨となった男たちが姿を現した。
毛むくじゃらの巨大な獣の手によって。
「キャーーーー！！！！！」
お姉さんの絶叫と共に観光客たちは一目散にバスに戻っていく。
もちろん、私たちはバスには乗らなかった。
「なるほどねぇ
キルア坊ちゃんの友達ですかい
嬉しいねぇ
あたしゃ20年勤めてるけどあんた達が初めてだよ
友人としてここに来てくれた人はね
雇われの身でこんなこと言うとバチが当たりそうだけど、ほんと寂しいとこだよ
誰も訪ねてきやしない
あんな連中はひっきりなしに来るんだけどね」
『あはは
十分賑やかじゃないですか』
「あっはっは！
確かにそうかもしれないねぇ
ま、希代の殺し屋一族だから仕方ないけど
因果な商売だよねぇ
いや、きてくれて嬉しいよ
ありがとう」
「いやいや」
「しかし、君らを邸内に入れるわけにはいかんのです
さっき君らも見たでしょう
デカい生き物の腕を
あれはミケといって、ゾルディック気の番犬なんですがね
家族以外の命令は聞かないし懐かない
今も10年近く前に主人から出された命令を忠実に守ってる
“侵入者は全員噛み殺せ、という命令をね」
「ん？」
クラピカはどうやらこの僅かな矛盾に気付いたようだ。
「いや、忠実じゃないやな！
食い殺してるから！
あっはっはっは」
『賢いワンちゃんなんですねぇ』
「．．．とにかく、中には入れられません
坊ちゃんの大事な友達を骸骨にするわけにゃ行かないからねぇ」
「守衛さん、あなたはなぜ無事なんですか？
あなたは中に入るんでしょ？
中に入る必要がないなら鍵を持つ必要もないですからね」
クラピカの核心をつく問いに、ぜブロは笑う。
「ハッハッハ．．．いいとこ突くね
でも半分あたりで半分はずれです
私は入るのに鍵は使いません
これは侵入者用の鍵なんですよ」
『侵入者用の鍵？』
「ああいう連中は不思議なもんで、十中八九正面から堂々とやって来る
それで扉を開けられないと
門を壊してでも正面から入りたがるんだな
迷惑な話ですがね
そこで脇の方にわざわざ鍵つきの扉を設けたんですよ
侵入者は無抵抗の私から鍵を奪いミケに食い殺されるって寸法だ」
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年8月24日 22時
