エーデルワイスを君に2【HUNTER×HUNTER】 (ページ21)

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第66話ページ21

『人の姿ではあってないですよ

　どうしてその時の化け物が私だとわかったんですか』

「．．．お前さんのことはネテロに話した」

『！
　お知り合い、だったんですね』

「まあのう

　あやつはすぐに森に向かったが、そこにあったはずの森は消えておった
　何が起きたのかは、わしにはわからん

　お前さんがネテロに会ったことは聞いておったが．．．」

『？』

「聞かんくてもわかる」

『どうして．．．？』

「何もかわらん

　化け物なんぞではなかった

　見たこともないほどに、美しいオオカミじゃった
　青藍色の毛並みが森の木漏れ日で輝き

　白花色の瞳が真っ直ぐとわしを射抜いた

　あの日見た誇り高い獣の姿、そのままじゃったよ
　今のお前さんは」

『．．．』

「これ以上のことは、ネテロにでも聞け
　あのジジイが素直に教えてくれるかは、わからんがのう」

『．．．ありがとう、ございました』

話終わり、ゼノは早々に部屋を出た

取り残されたAは、ただ呆然と膝の上に置かれた手を見つめていた。

30年前

少なくとも自分は、記憶がある時点よりも16年長く生きている
恐らくもう少し前の時点から既に生まれている

でも記憶がない

さっきの話も、結局ゼノさんと別れた後は何も覚えていない
正確には、動物達を殺されて、男を殺し、ゼノさんと会った

これしか覚えていない

その前何をしていたのかも、その後何をしていたのかも
何も思い出せない．．．

『そもそも、森がなくなったって．．．』

私が森を出たのは8年前
ハンターになるために、人の世界を学ぶために森を1人で出て、ネテロ会長に会った

あれ？そもそも私14年前ってどんな見た目してた？

覚えてる時から年を数えてたけど．．．
私、14年前そんな子供だった？

今と何か、変わってた．．．？

『．．．ああああ！！！
　わかんない！！』

そこまで考えて、Aは頭を抱えて床に座り込んだ

『これ以上考えても、何もわからない気がする

　．．．やっぱり、自分のことを知るためには会長のところに行かなくちゃ』

Aは久しぶりに頭を働かせたせいか、徐々に重くなる瞼に逆らえず
その場で寝転がる

渇いた血がついた床など気にもせず、結局その日
Aは独房で眠りについた

「シルバ
　あの娘はわしらがどうこう出来るもんじゃないぞ」

「．．．」

「あれは、別の世界の住人じゃよ．．．」