エーデルワイスを君に2【HUNTER×HUNTER】 (ページ15)

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第60話ページ15

『．．．私も、そう思います
　才能に満ち溢れている

　きっとこのまま育てれば、あなた方を優に凌ぐ存在になる』

「(なんだ．．．？)」

『でも、向いているとは思いません』

「．．．」

『才能はある
　確かにそうです

　でもキルアは殺し屋には向いてません』

「なぜ、そう思う．．．」

『だって、あんなに不器用で、心配性で、恥ずかしがり屋で

　．．．とびきり優しい心を持った子が、殺し屋に向いてるはずないですから．．．！』

初めてシルバに笑顔を向けたAの表情はひどく優しく
どれほどキルアを思っているのかが、痛いほど伝わった

慈しむようなその笑みに、シルバもゼノも、わずかに目を見開く。

「そうか．．．

　俺からの質問だ
　君は、どうしてそこまでキルのために動ける

　知り合って、まもない間柄だろう」

シルバの質問に、Aは数秒思案したのち、先ほどとは違い子供らしい笑みを浮かべてこういった。

『何百人、っている中から
　私を一番に見つけてくれたのがキルアだから！』

「．．．ﾌ、そうか
　時間をとらせて申し訳なかった

　また後で、一緒に食事を取ろう」

『え！あ、はい！
　(え、ゾル家の食事．．．？え？毒入ってんじゃないの？
　遠回しに殺すぞ、って言われた？)』

一抹の不安を抱えながら、Aはシルバの部屋を出た。

しかしAの苦労はこれでは終わらない。
ゼノに客室に連れていかれている道中のことだ
ついに彼女に見つかってしまったのだ

「お義父様！」

「ん？おお、キキョウさん
　どうかしたか？」

「どうもこうもありません！
　こんな汚らわしい女をキルに近づけるだなんて！！
　
　何を考えているのですっ！！」

そう、彼女はキルアの実母
キキョウ＝ゾルディック

目に何かの機械をつけ、発狂するようにゼノを捲し立てる姿にAは少なからず恐怖を抱いた。

「まあまあ、こやつはワシの客人じゃよ」

「私を納得させるために体よく理由をこぎつけたんでしょう！？
　信じられない！」

「(参ったのう．．．)」

『(キルアが家出するわけも納得できるな、こりゃ．．．)』

「カルトちゃん！！」

『！』

何やら我慢の限界が来たのか、キキョウはキルアの弟でありゾルディック家五男カルト＝ゾルディックの名を呼ぶ。