第85話 ページ40
キルアside
怪我をして起き上がれないゴンを部屋において、俺は今猛ダッシュで走っている。
エレベータに飛び乗り、1階のボタンを押す。
200から徐々に数字が小さくなっていく間も待ちきれずにその場で駆け足を続け、扉が開いたと同時に外に駆け出した。
「キルアくん？
そんなに急いでどこへ？」
俺に声をかけたのはメガネ兄さんとその隣に立つズシだった。
「ちょっとね！」
止まっている時間も惜しくて、2人の横を駆け抜ける
「「？」」
俺が急いでる理由は待ち合わせだ
天空闘技場の前の広場にある噴水で、とある人物と会う約束をしている
「ねーねー！
さっきの子すっごい可愛くなかった？」
「わかる！
誰か待ってたのかな？」
「彼氏とかじゃない？」
「まあ、あんだけ可愛かったら彼氏くらいいるか〜」
「周りの人たちみーんなあの子のこと見てたね」
「そりゃ見ちゃうでしょ！
あんな可愛い子見たことないもん！」
「．．．！」
すれ違った2人組のそんな会話に足を止めてから、また走り出す
もう噴水は目の前だ
「！(いた！)」
見覚えのある後ろ姿が見えて息を吸い込む
「A！！」
『！』
思い切り名前を呼ぶと俺の方を振り向き目があった
そいつは俺を見ると、パ、と笑顔を浮かべ大きく手を振った
『キルアー！！』
やっとAのところに到着したところで、その勢いのまま肩を組む
「久しぶりだな！
早かったじゃん！迷わず来れたんだな！」
『久しぶり！
みーんなこっちに向かって歩いてきてたからね』
「なるほどな」
『キルア、ゴンは．．．？』
「あーあいつは．．．」
俺しかいないことを不思議におもったAに、数日前に起きたことを話すことにした
『はー！？
念能力者と戦って全治4ヶ月ぅ！！？』
「師匠には2ヶ月、って嘘ついてるけどな」
200階まで上りきり、ゴンのいる部屋に向かう途中の廊下で頭を抱えため息をこぼすAに俺は苦笑いを浮かべる
「(ゴンのやつ、説教されなきゃいいけどな)」
『ほんっとに相変わらず無茶ばっかり．．．』
「．．．(なんか、こいつ．．．)」
『あ、部屋ってここ？』
「え
あ、おう
よくわかったな」
教えていないはずだったが．．．
そういうと、Aは自分の鼻をちょんちょんと指で突いて見せる
『お忘れですか？』
「ああ、なるほどな」
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年8月24日 22時
