検索窓
今日:8 hit、昨日:15 hit、合計:5,514 hit

7話 ページ9

コナンside

「は?」


一瞬時間が止まったように感じた


「なに、言ってんだよ...

 Aが組織の人間なわけねーだろ」


『...』


「っ」


俺の服を掴む灰原の震えた手

やけに自分の心臓が大きく聞こえる

背中に嫌な汗が伝い、口が乾いていく


「A...っ

 っ!」


藁にもすがる思いでAに視線を向ける

でも目に映ったのは冷たい目でこちらを見据える姿


「待つんじゃ二人とも!
 Aくんが組織の一員なはずないじゃろ!」


わかってる

わかってる

でも灰原は組織の人間の気配を敏感に感じ取ることができる

こうやって怯える灰原を俺は何度も見てきた


「...」


「Aくん!
 君からも何か言ってやるんじゃ!」


『...』


博士の言葉を聞いた後、Aはゆっくりと俺たちに近づく


「やめてっ!来ないで!!」


「A...っ」


ついに俺たちの前に立ったAはゆっくりと床に膝をつく

俺も灰原も一歩も動けない


『...』


Aの真っ白な手がゆっくりと灰原に向かっていった


「っ」


「...!」


『君にはわかるんだね...』


まるで自分が組織の人間だ、と思わせるような言葉だった

でも俺はAの顔を見てなぜか安心してしまい
ドクドクと大きく脈打っていた心臓がゆっくり落ち着いていくのを感じた


「灰原、大丈夫だ」


「ぇ...

 ...!」


俺の言葉に固く瞑った目をゆっくりと開いた灰原は、Aの顔を見る


『...っ』


今にも泣きだしそうな表情を浮かべて笑っている


『恐いよね

 でも信じてほしい
 私は君が不利に働くような事は絶対にしない』


「...」


『話がしたいんだ

 かつて組織にいた君と
 組織の中で科学者という立場に立っていた君と

 灰原哀さん...いや、宮野志保さん
 私の話をきいてほしい』


「「「...」」」


灰原の涙を細い指先で優しく拭いながらAは笑う

優しくて暖かい笑顔


強張っていた肩からゆっくりと力が抜けるのを見て、俺と博士は顔を見合わせて笑った


コナンside終了

8話→←6話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.0/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
12人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年4月6日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。