34話 ページ37
背後では爆発音が絶え間なく響き
その都度建物が倒壊していくのがわかる
轟々と燃え盛る炎に
夏の茹だるような暑さが相まって汗が滝のように流れる
なのに
体の芯は徐々に冷えていくのがわかった
アスファルトを少しずつ赤く染める液体が僕の腕を伝う
彼を支える腕はしっかりと重みを感じているはずなのに
何故かその重みが消えていくような感覚に陥る
ドクドクと早鐘を打つ僕の心臓
鼓動で体が揺れているんじゃないかと思った
なのに彼の音は僕の音に反比例するように小さくなっていく
小麦色に焼けた彼の肌が少しずつ
しかし確実に色を失っていく
重苦しそうに薄っすらと開いた瞳が悲しげに揺れて
形のいい唇からは苦しそうな声が漏れる
真っ赤に染まった腕が上げられ
僕の襟を力強く掴んだ
どこにそんな力が残っているんだと聞きたくなるほどの力で引き寄せられる
真っ黒な瞳が一際強い光を灯すのを見た
凛とした声がまるでこれが最後かのような獣の遠吠えのように聞こえた
たった一言
僕にそれだけ言い残して
彼は逝ってしまった
安らかに、なんて
到底言えないような悔しげな表情を残して
「降谷、お前にしか 頼めない...っ
真白という苗字の
少女を、探してくれ...っ」
____________________________
「夢、か...」
懐かしい夢を見た
あの人との最後の会話だった
「真白...」
頼む、と
最後にやるせない表情で彼は言った
それを最後に彼は僕の腕の中で息を引き取った
「...貴方に憧れて、尽くしてきた部下に
最後に言うことが人探しなんて
ほんっといい性格してますよ...」
でも
貴方のあんなに必死な顔は初めて見ましたよ
「僕が必ず、見つけて見せますから」
だから、もう少し待っていてください
桜羽さん...
安室side終了
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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年4月6日 16時