16話 ページ18
no side
「宝石は無事か!!」
「特に変わった様子はありませんが...」
「念の為、確認した方がいいのでは?」
「...ああ、そうだな」
「でもまだ時間じゃないわよ!」
「たしかに、園子の言う通り今警備装置を解除するのは危険じゃ」
「くそ!」
「(あれ?
Aどこ行ったんだろ...)」
「警部!
予告時間まで20秒切りました!」
「よし!
お前ら警戒を怠るなよ!!」
5
4
3
2
「1」
「「「「「!!!」」」」」
「か、怪盗キッド!!!」
どこからともなく現れた真っ白な怪盗
宝石のショーケースの上に優雅に立ち、不敵に笑みを浮かべる
「キッド様!」
「こんばんわ、中森警部
今宵、女神の慈愛を頂きに参上しました」
「キッド!どこから...っ
捕獲だ!急げー−−!!!」
「きゃあ!」
「何!?」
何人もの警察がキッドにとびかかった瞬間、その場が煙幕に包まれた
「くそ...っ」
「キッド捕獲ー!!」
「よし!絶対に離すなよ!」
霧が晴れ、山積みになった警察の下から出てきたのは...
「キッド様の、人形!?」
「宝石は!」
急いで宝石を確認するべく、警備装置を解除
「こ、これは...」
「そんな...」
ショーケースから取り出された宝石は本来の紫色よりも随分薄く
僅かにすみれ色に染まっているだけだった
この宝石が偽物なのはここにいる全員にとっては一目瞭然だろう
「!扉は!」
警部の言葉に一斉に扉に視線が集まる
西側の扉は閉じられていたが、東側の扉が開け放たれて、それを見た警部たちは一目散に外に走っていった
「蘭!私たちも行くわよ!
今行けばもう一回キッド様が見れるかも!」
「う、うん
(A...)」
展示室には誰一人残っておらず、唯一ケースの中に放り出された宝石だけが輝いていた
.
.
.
コツン
コツン
僅かに外の喧騒が聞こえる部屋に
低い靴の音が響く
開けられた扉の裏から誰かが出てきたのだ
その人物はそっと宝石を手に取ると
形のいい唇に弧を描き、不敵に笑う...
「宝石は、我が『我が手中に』...っ!!?」
開けられたままの扉を通り
展示室に足を踏み入れたのは純白の女性
『こんばんは
怪盗1412号』
「...」
部屋の明かりに照らされた彼女を見たキッドの目が僅かに開かれる
『いや、怪盗キッド
の方がいいかな...?』
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作者名:SHINKAI | 作成日時:2022年4月6日 16時