第23話 ページ25
『フゥ．．．思いのほか時間かかったなー』
試練の道、一つ目の部屋“迷宮“を見事クリアしたA。
現時点での経過時間は8時間とまずまずの走り出しである。
『さてと
次の部屋は何かな』
第二の部屋と書かれた扉をくぐると、今までとは比べ物にならないほどの広い部屋に出た。
周囲をぐるりと見回すと、周りは壁でなく檻のようになっていることがわかる。
『なるほどね
次はふれあい動物園、ってところかな？』
“迷宮クリアおめでとう
察しの通り、この部屋にはとある生き物がいる“
ガチャン、という檻の施錠が解除されたのであろう金属音。
檻から出てきた奴らは、空腹なのかよだれをダラダラと垂らしながら、獲物を狩るべくゆっくりとAに歩みよる。
“その生き物の名前はデザートファングだ
砂漠に生息する中型の肉食獣だよ
体は小柄だが筋肉質で砂漠の過酷な環境下で鍛えられた屈強な体を持つ
そして発達した二本の牙からは神経毒が分泌されている
少しでも擦れば数分と待たずにあの世行きだ“
『．．．』
Aは説明を聞きながらも周囲への警戒を解かない。
デザートファングと呼ばれる猛獣の見た目はサーバルキャットのようだが、牙も爪も体格も常軌を逸している。
“クリアの条件は生きてこの部屋を出ること
しかし出口の扉には鍵がかけられている
鍵はこの部屋のどこかに隠している
鍵を探しながらデザートファングからも逃げる必要がある
もちろん、始末してから鍵を探すのもありだ
それでは“
『．．．私ってば、ほんとに運がいいなー
こーんなに．．．』
いまだに余裕綽々と言うような笑みを浮かべるAに、ついに猛獣たちが一斉に飛びかかった。
それでもAは動かない
何故なら．．．
『簡単な試験に当たるなんて』
「「「「「「「「っ！！！！！」」」」」」」」
彼女は獰猛な猛獣でさえ従えることができるのだから。
見開いた白花は、まるで獣のようにな瞳孔で、さらに猛獣たちを萎縮させた。
殺気のような、はたまた別の圧のようなものが部屋を満たす。
中には立っていることも叶わず地に伏せるものもいた。
『．．．』
そんな獣たちを見て、Aはゆっくりと力を抜いた。
それと同時に、猛獣たちはワラワラとAの周りに集まり、ジッと黄金色の瞳で彼女を見つめた。
その瞳に敵意などは微塵も存在していなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 117人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
SHINKAI(プロフ) - 蒼さん» ありがとうございます！そう言って頂けるとすごく嬉しいです！これからも作品をよろしくお願いします！ (2022年8月31日 0時) (
レス) id: 9829dd467f (このIDを非表示/違反報告)
蒼 - HUNTER×HUNTERの世界観にあった文章でサクサク読み進めることが出来ました。とても面白かったです！ (2022年8月30日 23時) (レス) @page48 id: 1c5f686e4f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SHINKAI | 作成日時：2022年2月11日 4時
