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静かな図書室
世界史の過去問の答え合わせを終えたところで
終業のチャイムが軽やかに校内に響く
校庭からは野球部の声がする
噂によれば県大会が近いらしい。
荷物をまとめて図書室を出る
テストも明日で終わり
今日は予備校が創立記念日で開校しないらしいから
学校の図書室で勉強して帰ることにした。
人気のなくなった校舎は好きだ。
いつもと違う場所にいるみたいでワクワクする。
昇降口に向かおうとして中庭を抜ける
金木犀の花はもう散っていて
地面に薄黄色の模様を作っている
この間のことを思い出して
廊下からふと教室の方に目をやる
「…あれ、」
…人の気配はないのに、窓が開いていて。
何かに吸い寄せられるように3階に上がる
なんとなく、また彼がそこにいるような気がした。
あれから京本くんとは少し話すようになって
でも教室で同級生たちと話す彼は
変わらず上手に笑っていて
「寂しい」と泣いていた彼は
幻だったんじゃないかと思えるほどだった。
…それが、心配だった。
カタカタと、今日はゆっくりと扉を開く。
「………、」
窓際の一番後ろの席
広げた教材の上に突っ伏すように、
その人は眠っていた。
フッサフサの長い睫毛、穏やかな表情
気持ち良さそうに眠る京本くんは幼く見える
カーテンが勢いよく巻き上がって
教室に秋の終わりの冷たい風が吹き込んだ。
…風邪、ひいちゃわないかな。
ブレザーは椅子の背に掛けられていて
眠る彼は腕を捲ったワイシャツ姿のまま
起こさないようにそっと窓を閉めて
ブレザーを肩にかける
桃「…ん、」
その刺激で京本くんが目を覚ます
「…ごめん、起こしたね」
桃「…へ、Aさん？」
慌てて上半身を起こした寝起きの彼の
気だるげな表情は
18歳とは思えない色気を纏っていて
ゾクゾクと、心臓が震えるのが分かった。
綺麗な人だなあとぼんやり思う
「…風邪ひくよ」
意識がハッキリしてきたのか
数回瞬きした彼は、慌てたように顔を覆った。
桃「…っ、さいあく」
「…え」
そんなに起こされたくなかったのかと慌てて
ごめん、と続けると
京本くんが首を振る
桃「…寝顔見られた、よね？」
…なんだそれ、かわいい
両手に覆われたその隙間からは
真っ赤になった顔がのぞいていた。
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はる(プロフ) - なさん» な様、わざわざコメントくださりありがとうございます！楽しんでいただけて嬉しいです(^^)Xの方は迷惑行為対策としての一時的な対応になりますので、お気になさらないでください。もう少しだけお待ちいただければと思います！ (1月20日 7時) (
レス) id: 360781c527 (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - ど深夜も過ぎた明け方に見つけて、泣きながら読みました…。物語の繊細な空気感は、はるさんの言葉選びが素敵だからですね。泣きながら飛んだX、フォロー押した後にbio欄気付きまして…、通知増やしましたかね、申し訳ないです。。素敵なお話に出会えて幸せです。 (1月20日 5時) (レス) @page50 id: a662f9fc26 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あみさん» あみさん、わざわざコメントありがとうございます！不器用さんたちばっかりのストーリー、気に入ってもらえて嬉しいです(^^) (2021年11月8日 23時) (レス) id: 4e8f9bb287 (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - キラキラした恋に憧れがちですが、実際は上手くいかないし、ズルくなったり誰かを傷つけてしまったりもしますよね。不器用で人間らしい恋愛模様に惹かれました。ピンクさんの美しさに戸惑いたいし、赤さんの際限ない愛が羨ましい…とっても面白かったです！すきです！ (2021年11月8日 17時) (レス) @page49 id: 1bfc2c8595 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - きらさん» きらさん、わざわざコメントありがとうございます！お付き合いいただきありがとうございました！ (2021年11月7日 10時) (レス) id: 4e8f9bb287 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はる
| 作成日時：2021年9月25日 11時
