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「久しぶりだね」
桃「ほんとだね」
ようやく2人でちゃんと会えたのは
4月の終わりの日曜日だった。
「最近どう？」
桃「ん〜、サークルは気になるとこ何個か新歓行ったけど…俺あのウェイウェイした感じ、苦手だわ」
「あ〜、W大のインカレサークルの新歓行った友達も同じようなこと言ってたかも。」
桃「そっちはどう？」
「勉強についていくのに必死。留学生とか帰国子女も多いから授業も日常会話もほとんど英語だし、課題ばっかりだし…大変だよ」
桃「そっか。…樹とは？あれから会った？」
「うーん、火曜の企業経済論の講義だけ一緒みたいだけど、お互い友達といるから会っても挨拶するくらいかな。慎太郎くんとは会ってるの？同じ大学だったよね」
桃「慎太郎はキャンパスは一緒なんだけど授業も被ってないし、広いからほとんど会わないかな」
「そっか。残念だね」
彼がひとつ頷いてアイスコーヒーを飲み干す。
寂しそうな、どこか浮かない顔
桃「…そろそろ行こうか」
「あ、うん」
小さなレストランで一緒にランチをした後は、
人気の俳優がW主演を務めた話題の映画を観る。
病院で出逢った男女が
病を乗り越えながら愛を育むラブストーリー
感動的なエンドロール
隣を盗み見ると彼は寝息を立てていた。
「…ね、終わったよ」
桃「…あれ、寝てた」
「…もう」
エンドロールが終わって明るくなって
人が減るのを待ってシアターを出る
「どしたの、大丈夫？」
桃「ん、…なんか最近眠り浅くて。隣にAちゃんいたから安心しちゃったのかも」
「もう。どこから寝てたの？」
桃「石原さとみの再発が分かったとこまで覚えてる」
「え、じゃあ半分くらい寝てたってこと？…もう。感想も言い合えないじゃん！」
ごめん、と呟いた彼の様子がなんだかおかしくて
「…どうしたの。なんか、今日変だよ」
桃「…大丈夫だよ」
「Are you sure？」
桃「えっ…？」
「…あ、ごめん。これ、友達がよく言うから」
桃「…そいつって男？」
「…へ？」
…温度のない、低い声
男の人にしては高くて透き通るような
いつものそれとはまるで違う
心臓が冷えてゆくような気がした。
桃「…何でもない。」
「……、」
桃「…今日はもう帰ろうか」
隣の彼が、作り笑って歩き出す
なんだか彼を急に遠くに感じて怖くなって、
繋ぎ止めなきゃと思うのに
うまく言葉は出て行かなかった。
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はる(プロフ) - なさん» な様、わざわざコメントくださりありがとうございます！楽しんでいただけて嬉しいです(^^)Xの方は迷惑行為対策としての一時的な対応になりますので、お気になさらないでください。もう少しだけお待ちいただければと思います！ (1月20日 7時) (
レス) id: 360781c527 (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - ど深夜も過ぎた明け方に見つけて、泣きながら読みました…。物語の繊細な空気感は、はるさんの言葉選びが素敵だからですね。泣きながら飛んだX、フォロー押した後にbio欄気付きまして…、通知増やしましたかね、申し訳ないです。。素敵なお話に出会えて幸せです。 (1月20日 5時) (レス) @page50 id: a662f9fc26 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あみさん» あみさん、わざわざコメントありがとうございます！不器用さんたちばっかりのストーリー、気に入ってもらえて嬉しいです(^^) (2021年11月8日 23時) (レス) id: 4e8f9bb287 (このIDを非表示/違反報告)
あみ(プロフ) - キラキラした恋に憧れがちですが、実際は上手くいかないし、ズルくなったり誰かを傷つけてしまったりもしますよね。不器用で人間らしい恋愛模様に惹かれました。ピンクさんの美しさに戸惑いたいし、赤さんの際限ない愛が羨ましい…とっても面白かったです！すきです！ (2021年11月8日 17時) (レス) @page49 id: 1bfc2c8595 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - きらさん» きらさん、わざわざコメントありがとうございます！お付き合いいただきありがとうございました！ (2021年11月7日 10時) (レス) id: 4e8f9bb287 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はる
| 作成日時：2021年9月25日 11時
