. ページ45
.
side Shintaro
北斗といつものカフェに入って
モンブランラテをふたつ注文すると
店員さんがクス、と笑った。
黄「…いつもありがとうございます」
彼を知っているのか
北斗が少し恥ずかしそうにペコ、と頭を下げる
緑「…知り合い？」
黒「…そ、そんなとこ！」
窓際の席に着くと北斗がふと窓の外を眺めた
黒「なんか、…すっかり秋だね」
緑「んね、」
… 秋は、カラフルな季節。
川沿いの並木は赤く染まり始めるし
重ね着になるぶん北斗の独特な私服も
どんどんバリエーションが増えてゆく
黒「…おいし！」
モンブランラテに口をつけて
満足そうに微笑む北斗。
ただそれだけのことがどうしようもなく愛おしくて、
俺は君が、大好きでー…
緑「課題は順調？」
黒「うん、いい感じ」
何気ない日常会話
ありふれたキャンパスライフ
こんなにも美しく感じるのは、
きっと隣に北斗がいてくれるから。
しばらくして夕飯時を迎えた店内は混み始めて
俺たちのすぐ近く
仕事終わりらしきお兄さんが席を探している
黒「…そろそろいこっか、」
頷くと北斗は残りのモンブランラテを
一気に飲み干して席を立った。
緑「…ハハ！ついてる」
おかしくって北斗の口元についたクリームを
そっと指先で拭う
そんなに慌てなくたっていいのに。
黒「………っ、！」
驚いたのか急に静かになった北斗が
頬を赤く染めるから
なんか…こっちまで、急に顔が熱くなる
緑「あ、…ごめん」
黒「…んーん、」
むい、と口を結んだままの北斗が首を振る
なんだか気恥ずかしい時間が流れてしまったことに
気付かないフリをして
北斗の分のマグカップを受け取り
そのまま自分のと一緒に片しに行く
黒「…ありがと、」
緑「いーえっ」
店の外に出ると外気は
夏を忘れたかのように澄んでいた。
すっかり暗くなった川沿いの道をゆく
夜のこの場所は都心とは思えないほどに静かで、
川のせせらぐ音が微かに響き渡る
黒「最近暗くなるの早くなってきたね」
緑「…んね、夏ならまだ明るいのに」
どちらが無理をするでもなく
同じになってきた歩くペースが心地よい
どこからか漂う金木犀の優しい匂いを吸い込もうと
見上げた空には雲ひとつなくてー…
緑「…うわあ、」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 753人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はる(プロフ) - ちゃちゃんさん» わざわざありがとうございます！よろしくお願いします(^^) (2021年6月19日 21時) (
レス) id: 4e8f9bb287 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃちゃん(プロフ) - Twitterフォローさせて頂きました。いつも素敵な作品ありがとうございます(T . T) (2021年6月19日 4時) (レス) id: c2f549b097 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はる
| 作成日時：2021年4月27日 12時
