終わりなきタイブレーク ページ39
不「タカさん！」
河「フレー！フレー！青学！」
竜「河村！その辺にしておけ」
そう叫びながらタカさんは必死に団旗を振り回していた。
手塚さんは、タカさん、そして竜崎先生と視線を合わせた。
越「俺に勝っといて、負けんな」
手「俺は、負けない」
越前くんも激励の言葉らしきものを言い、そのままラケットを持ちどこかへ行ってしまった。
手塚さんがコートに入っていく直前、私からも一言何か言おうと思い、声をかけた。
『手塚さん』
手「なんだ」
皆が今日全力で試合をしていた中で、私は見ているだけだったけれど、
『手当て。出来る限りはしておきましたよ。私も医者じゃないんで完璧じゃないですけど』
私に出来る事はこれぐらい。
手「それでも十分感謝している。ありがとう、水崎」
『…いえ』
それでもお礼を言われるのは、なんだかくすぐったい感じだ。
そのままコートへ行くのかと思いきや、手塚さんはじっと私を見つめてきた。
『？あの？』
手「お前は青学テニス部には必要な存在だ」
ストン、と心のどこかが軽くなったような気がした。
ああ、そっか。私、心の底では怖かったんだ。ここでちゃんと必要とされてるか。
『ありがとうございます…部長！』
いつもより何倍もの笑みを浮かべそう言った。
手塚さんは少し柔らかい表情で頷き、コートへ入って行った。
「40ー0より試合を続行します」
「ゲームandマッチ、氷帝跡部。7ゲーム to 6」
「氷帝対青学の試合は2勝2敗、1ノーゲームにより、第6試合は控え選手によるシングルスを行います」
手塚さんは惜しくも負けてしまい、控えの越前くんが出ることになった。
氷帝からは、2年の日吉若という子が出るそうだ。
控えのシングルス。越前くんからのサーブで始まった。
相手の日吉くんは、越前くんをただの1年だと思ってるみたい。
カンっ、という柵に当たった音がした。どうやらツイストサーブを打ったようだ。
日吉くんは驚いて後ろを振り返っている。
越「余所見してていいの？どんどん行くよ」
そう言い次々とツイストサーブを打っていく越前くん。が、何度目かを打ったところで返されてしまった。
『まぁ、本気じゃないけどね。あれ』
他のレギュラー陣も分かったようで、皆口々にそう言っていた。
そのまま返されたボールをドロップショットで返した。
しかも零式ドロップショット。
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作者名：ミズチー | 作成日時：2019年8月21日 14時
