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あの制服は確か…
『聖ルドルフ?』
裕「え?」
あっ、と思った時には遅く、一人の男の子がこちらを振り返った。
『って、キミは確か…』
振り返った男の子が、どこかで見たことのあるような顔だった。
裕「?あの、なんすか?」
柳「裕太、何してるだーね」
思い出そうとして見つめすぎたようで、男の子は困惑していた。そこに、もう一人のルドルフの人が現れた。
『裕太?……あぁ!不二裕太くん!』
結構なボリュームで声を出してしまったようで、二人とも肩をビクッと揺らして驚いていた。
柳「ゆ、裕太…知り合いだーね?」
裕「いや、知らないっすよ…」
二人とも困惑した表情で私を見つめながらそう言った。
『ごめんごめん〜まだ名乗ってなかったね。青学3年テニス部、水崎Aっていいます』
裕「青学…?」
柳「ああ!だから裕太のこと知ってるだーね」
青学、というと二人は納得したように顔を見合わせた。しかし、不二くんの方はどこかバツが悪そうな顔をし、顔を背けた。
裕「兄貴から聞いたんすか、俺のこと」
『兄貴……?』
黙り込んでいた不二くんは、私にそう言った。
裕「だから、兄貴!不二周助!あいつから聞いたんじゃないすか?」
『…ええぇぇ!不二くんって弟いたの!?』
裕「…は?」
まさかの事実にびっくりしていると、不二くんは呆気にとられた顔をしていた。
裕「じ、じゃあ…なんで俺のことを?」
『いやだって、出てたじゃん!都大会のとき』
越前くんに負けてたけどね、と言うと一瞬ムッとした顔をした不二くん。それより私は、不二(兄)くんの弟が不二(弟)くんだったってことにびっくりしている。確かに苗字一緒だなと思ってたけど。
『それで、なんでそんなにムキになってたの?』
私がそう聞くと、不二くんは先程と同じように顔を背けた。すると隣にいた先輩らしき人が代わりに答えてくれた。
柳「裕太はあの天才な兄貴と比べられるのが嫌いなんだーね」
『………ははーん、なるほどね〜』
どこに行っても、『不二弟』。兄が天才故に、その『天才の弟』と比べられていたらしい。
裕「だからなんすか…どうせアンタも不二周助と比べて弟は、とか思ってるんだろ」
半分諦めたような、どこか悲しそうな顔をしながらそう言った不二くん。
『なーに言ってんの?馬鹿だな〜全く』
裕「…え?」
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作者名:ミズチー | 作成日時:2019年8月21日 14時