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事件は突然、とはこの事だろうと私は思った。
昼休み、人が行き来する廊下で、ある場所に視線が釘付けになっている今日この頃。
その名も【購買】。
そんなことかと思うかもしれないが、学校にも来たことがない私は勿論、購買なんて見たことがなかった。
お昼は食べたけど、折角だから何か買って行こう、と思い、購買の中を覗いてみた。
ふとそのとき、風の噂で最近、購買にあの【行列ができるパン屋】で有名の《ゴールデンパン》が置かれている、と聞いたことがあるのを思い出した。
何でも、朝から並んでいても買うのは難しいんだとか。日本に来て日が浅い私でも知ってるくらいだ。
ラッキーなことに、あと一個残っていた。
この機会を逃したら食べることはないだろうと思い、私は最後の一つを手に取りおばちゃんに見せた。
『おばちゃん、このゴールデンパンちょーだい』
いくらぐらいかな〜と呑気に考えていると
おば「ああ、すまないねぇお嬢ちゃん」
おばちゃんは申し訳なさそうに眉を下げると、衝撃的な言葉を放った。
おば「このパン、予約済みなんだよ」
『え、……………………………予約とか、アリ?』
取り敢えず出てきた言葉がこれだった。
え、普通購買って、早い者勝ちじゃないの?争奪戦とかある感じじゃないの?予約システムとかあっていいの?
おば「お得意さんなのよねぇ」
おばちゃんがそういった直後、背後から誰かの気配がした。
桃「おばちゃん!ゴールデンパン取りに来たぜ」
おば「おお。武ちゃん、毎度ありよ」
この人は確か、レギュラーの桃城くんだったか。
って、そうじゃなくて……
『おばちゃん!お得意さんだからってアリ!?ちょ、桃城くんもどっか行こうとしないで』
私はおばちゃんに詰め寄り、さっさと帰ろうとしている桃城くんの制服を引っ張った。
桃「うぉっ、誰だ!?………ってあんたは確か……誰だっけ?」
あ、気づかれてなかった感じですか。さいですか。
『私は水崎Aで…って、違う!』
私はビシッと桃城くんの方に指をさし、ここで騒いでいたら流石に迷惑だろう思い考えた結果、こう言った。
『私とテニスで勝負をしましょう!』
桃「………は?」
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作者名:ミズチー | 作成日時:2019年8月21日 14時