3人のダブルス ページ29
「ワンセットマッチ、青学桃城toサーブ」
初めは、忍足向日ペアとのダブルス2の試合が行われる。Aを含めた皆は、緊張感のある表情でコートを見つめていた。
「ゲーム氷帝、1ゲーム to 0」
最初はどちらもいい勝負だったが、向日が菊丸をも超えるアクロバティックプレーを披露し、1ゲーム取られてしまった。
チェンジコート、という審判の声で二組とも移動する。するとすれ違いざまに向日が振り返り、挑発的に菊丸に声をかけた。
向「おい、菊丸。…もっと跳んでみそ？」
菊「………」
桃城は、あんにゃろ…と言っているが菊丸は真剣な目で向日を見つめていた。
次のゲームが始まる中、会場は氷帝コールでいっぱいだった。
水「嫌な雰囲気だね…」
加「あの菊丸先輩のアクロバティックを上回る選手がいるなんて」
1年の二人が客席でそう言っている。すると横にいた不二が「しかし、」と話し出した。
不「あれはいつもの英二じゃない。試合当日、突然大石から桃に変わった事が、英二の動きを鈍くしてるんだ」
不「ダブルスの連携プレーはペア同士の息があって初めて、2倍3倍の力を発揮するからね。」
不二の言葉に1年が不安そうな表情をした。すると緊張感漂っているこの空間で、空気を読む気のない声色をした人物が現れた。
『あー、ポンタって美味しいな…しみじみ思う』
缶ジュース片手に、何故かレギュラージャージを着ているAが不二の隣に歩いてきた。
不「あぁ水崎さん、おかえり。竜崎先生との話ってなんだったの？」
Aが隣に来ると、不二がそう聞いた。するとAは思い出したかのようにジャージを見せた。
『あ、そうそう！見てみて！』
『これ！実はなんと…私も遂にレギュラージャージを着ることができるんだよ！』
なんか凄い優越感…とAが言っていると、Aはふとコートに目を向けた。
『もしかして、今押され気味？』
Aがそういうと1年は気まずそうな顔をし、不二は真剣な顔でコートの方を向いた。
今は丁度桃城が、相手にジャックナイフを打ったところであった。
それを向日がアクロバティックで返した。
桃「おっけーい！待ってました」
そういうと桃城は高く飛び上がり、ダンクを打った。しかし、
『……まさか』
不「っ！…」
不二とAはいち早く事を察した。
桃「なっ……！」
気づけばボールは菊丸桃城ペアのコートにあった。
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作者名：ミズチー | 作成日時：2019年8月21日 14時
