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突然Aが蹲り、越前と桃城は驚いた。
いつも余裕綽々な雰囲気だったのが、今は真逆になっている。
桃「えーっと…水崎先輩？大丈夫すか？」
桃城は何時もより控えめにそう聞いた。
するとAはいきなり立ち上がり、跡部の前まで歩いた。
そして
『ひ、ひ、人違いなのでは…？』
Aがそう言うと、あまり事情が分かってない周りの人間も「もう遅いだろ…」と言うとこは分かっていた。
跡「いや、人違いじゃない。この俺様が間違うわけないだろ」
Aはガクッと肩を落とし諦めたように沈んだ。
跡「何を勘違いしているか知らないが、別に俺は言うつもりはないからな」
『え、ほんと！？』
跡部がそう言うと、Aは顔をバッと上げ、きらきらした瞳で跡部を見た。
跡「あぁ、別に俺が言ったとしても何のメリットもないからな」
ただし、と言うと喜びに溢れていたAはピタッと止まり、跡部の方を向いた。
跡「俺様がお前の秘密を知っているというのを忘れるなよ。ここで言わないだけで、どこかで言うかもしれないからな。」
跡部のその言葉にAは一言。
『………この人苦手』
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あの後、跡部率いる氷帝は、越前に対し関東大会で倒すと言って帰ってしまった。
杏「それじゃ、あたし帰るね」
桃「サンキューな、色々と」
杏「色々？」
いやあ、こっちの話。と言って桃城は話を逸らした。
杏「関東大会、頑張ってね」
桃「……ああ」
杏「やっと桃城くんらしくなってきたよ」
越前くんも頑張って、と言うとその横にいるAに目を向けた。
杏「貴方もさっきはありがとう」
『ん、別にお礼を言われるような事はしてないよ』
杏「そんな事ないよ」
ありがとう、ともう一度お礼を言われ少しむず痒い表情になったA。
杏が、それで……とAに向かって話してきた。
杏「私、橘杏っていうの」
杏「もし良かったら、友達にならない？」
杏がそう言うと、Aはポカーンとした顔をしていた。
杏「やっぱり、ダメだった？」
『…え、う、ううん！全然いいよ！オールOKだよ！』
慌てて何時もの顔に戻りそう返すと、Aは深呼吸をし、笑顔で言った。
『こちらこそよろしくね、杏ちゃん』
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作者名：ミズチー | 作成日時：2019年8月21日 14時
