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些細なことだが、見ず知らずの人間を月刊プロテニスの人間だと断言したことについて、疑問を持ったようだ。
『そんなの簡単ですよ。見たところ誰かの親御さんって感じじゃないし、しかもそのカバンの中身、カメラが入ってるでしょう。それに、月刊プロテニスはよく青学の記事が載ってるし、関東大会前の校内ランキング戦なんて見逃すはずありませんよね』
と、少しの笑顔も崩さずにそう述べた。
井「……ははっ、その通りだよ。参ったな」
両手を上げて、降参のポーズをしながらそう言った。
その様子を見ていた他の四人も、ポカーンと口を開けていた。
手「ではこれより、校内ランキング戦を開始する。各自割り振られたコートへ」
『お、始まるよ〜』
当の本人はこの調子だが。
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河村 「オラオラ燃えるぜ、バーニング！！…とりゃぁ！」
モ「うわぁっ！」
河村の放ったボールが、相手のラケットを弾き飛ばした。
「ゲームアンドマッチ、河村」
大「ふっ、！」
モブ「っ、ムーンボレー！」
大石の十八番、「ムーンボレー」がライン上ぴったりに入った。
「ゲームアンドマッチ、大石」
「ゲームアンドマッチ、桃城」
「ゲームアンドマッチ、手塚」
『……………………』
その様子をAは静かに見ていた。
ーーーランキング戦2日目ーーー
「マッチポイント、越前」
2日目で、越前の試合を見ているのは1年と井上達である。
そこに、今来たAも加わり全員で見ていた。
越「先輩、まだまだだね」
そう言い、越前はツイストサーブで決めた。
越「くじ運ないっスね、池田先輩」
池「越前！少しは手加減しろっての！」
越「やだ」
愛想がないというより生意気だな、とAが思っていると、コートから越前が出てきた。
『お疲れ、越前くん？調子良いみたいだね』
ニコニコと越前に歩み寄るA。
その様子を越前は、怪訝な顔で見つめていた。
越「………」
そのまま越前はどこかへ歩いていってしまった。
『ありゃりゃ、嫌われちゃったかな？』
困った困った〜、と肩を竦めておどけたように笑った。
『この調子じゃ、叶いそうにないかな？』
そして昨日、越前に言ったお願いを思い出しながら、また不敵に笑った。
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作者名：ミズチー | 作成日時：2019年8月21日 14時
