プロポーズ【宮侑】

宮治の独白 ページ18

治side




初恋は実らないと言うが、それは事実や

って最近までは思うてた。




なんで最近なって考えを改めたかと言うと、双子のもう片方がどうやら好きな人と両想いらしいということを察してから。

ツムの初恋はもちろんAちゃん。

叶うかどうかは知らんけど、両想いになるんちゃうかなって予感は結構前からあった。




昔からAちゃんにはツムの相談をようされた。

ツムから見たらAちゃんは「頼りになるお姉さん！」って感じやったやろうけど、俺からしたら「おっちょこちょいな姉ちゃん」って感じやった。

結構ドジやし、天然なところもあって。




見え方は違っても、俺もツムもAちゃんを慕っとった。やから、何も言わずに東京に行ってしもうた時は寂しかったし、ちょっぴり泣いてもうた。

それから2年経って、また合宿でAちゃんに会えた。心底嬉しくてたまらんかった。

けど、すぐに気付いた。今、ここで落とさないとツムの初恋は叶わんって。



協力したろうと思った。2人に幸せになってほしかったから。



アドバイスは、恋愛下手なAちゃんの相談を受けて、これが恋やって教えた。

手伝いは、ツムが見える時に抱きしめて、嫉妬させて、煽った。



アドバイスは、俺の初恋の時の気持ちを、そのまま伝えて

手伝いは、Aちゃんが元彼と抱き合っていた時の醜い嫉妬心を思い出しながら。

俺は、我慢してしもうたけどツムならきっと大丈夫やから。




最初から色んな理由で不安になって、気持ちも伝えず諦めてしまったアホにはチャンスを与えられる権利すらない。


でも、叶わんかもって不安になっても、ずっと想い続けて伝え続けたアホにはチャンスを得る権利がある。



その、チャンスは俺が与えたる。


今更未練なんて1ミリもない。

ないのだから



「あとは自分で何とかせぇや」








抱きしめた時の感触なんて、早く忘れてしまえ。




《初恋は実らない》

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