黒岩「おい、三………四流。」不動「下げんな！」天馬「(三流は認めるの？？)」【イナギャラ】 (ページ25)

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不動兄ページ25

精神的な限界だったのだろう、過ちを犯した。誰かがそう言った。
借金が増える。両親が言った。
金の話はどんなに大人ぶっても深くまでは話されない。それでも我ながら理解している方だと思っていた。

「明王、お兄さんになるんだよ」

オヤジが言った。ギョッとした顔の母さんがいた。

「今からでも、遅くないわ。おろすべきよ。」

その時の母親は変な顔をしていた。面白いわけではなくごちゃごちゃとした。今思えば罪悪感と切羽詰まったそうなったことへの後悔。

「じゃ、妹がいい。」

薄汚れた小さなサッカーボールと共に外へ出た。言うだけ言って逃げ出した。

それが彼奴の産まれてから何年、いや何ヶ月前だっただろうか。少なくともそこまで両親は一緒だった。その後は知らない。ただ、母方の大親父が倒れた。それだけは聞いた。実家に戻った母親が戻ることはなかった。

「1人にしないで！！」

影山という男に出会って数日は家にかえっていなかった。玄関を開ければボロボロのボールを抱き抱えながらわんわんと泣く妹の姿があった。それからだった。借金返済に奔走する親父に、帰ってこない母親。家にはコイツ1人だった。俺に置いていくことは出来なかった。何度も振り払ってしまうべきだったかもしれないと後悔することもあった。まだ、子供でと言い訳も出来たのじゃないかとも。伝わっていたのかもしれない、明沙はしがみついてでも俺についてきた。

「はァ？俺にアイツのこと聞いてどーすんだよ。子育て記録でも書かせる気か？」
「兄弟ってよりお兄さん兼お母さんだもんね。」

あはは。と笑う吹雪に肘打ちしようとすれば火のついたボールが俺と吹雪の間を通過する。

「おい、明沙！練習しやがれ！！！」
「うっせぇ！吹雪さんに何してんだクソ兄貴！！」
「オーマーエーナァ！！」
「明沙ちゃん、ありがとね。」
「あ、いえ。あたしは当たり前のことをしたまでで。」
「監督や兄にボール当てようとすんのは当たり前かァ！？オイッ、待やがれ明沙！！」
「うっわぁ、背骨折れたらどーすんだよ！！後ろからジャッジスルーしようとスんじゃねぇし！！」
「おい！パス練から模擬戦移してろ！化身と必殺技なしでやってろ！逃げんじゃねぇ！お前は4時から向こうと合流だろうが！！」