２・give up ページ8
これは夢。
そう思ったのは、寝たという確信があったから。
人は基本夢を忘れるらしい。
私も起きた瞬間は何かがあったと解ることはあったが、夢の明確な内容まではわかることはなかった。
冷や汗ダラダラで起きた時、あの夢見が悪い時は本当に気持ち悪い。
が、しかし現実的では無いものが連なれば、ああこれは夢、なんて浸ることもある。
多分目覚めたら全て忘れている、夢はなんて酷いんだ。
「ここ、どこ…」
私は一体どこから始まったのか、夢が始まりではないような雰囲気。
人々らしきもの(ありえないものもいる)が一方向に向かっている。
時折、チカチカと暗闇で光るガス電球はホラー感を倍増させていた。
自身の体を見れば、それは私のものであり、私が急激に背が伸びたとか縮んだとかじゃなくて、周りがかなり不自然な形をしていることに気づく。
やはり、人間とは何か違うものもいるのかもしれない。
私の妄想はそこまでファンタスティックではなかったはずだが。
ゾンビに喰われる話はあっても私は恐らく他者目線でいられていただろうが、こう意識まで夢に入っちゃしょうがない。
取り敢えず、周りから挙動不審の奴だと思われる前に歩を進める。
ついていってみたら大体話はわかるだろう。
ついていったが故に、私はさらに頭がこんがらがっていた。
皆がゾロゾロと入っていくのはカジノのようなお店であったのだが、私からすると何処か見覚えがあった。
輝かしいライトやよく聞こえる金の音。
パチンコ屋にしては宣伝や旗をさしていない外装。
先に言ってしまったが、私がバイトで通っているパチンコ屋に見えるのだ。
到底規模は違うように感じるが、既視感というかそういうものが私の中で浮上している。
入るか否か、確かめたいのなら入るがよし。
入ったら夢に囚われる気がするため、入らないで慎重に行くか、夢の終わりを待つか。
挑戦心がないわけではないが、どちらかというと慎重派である私は後方を選ぶ。
このお店の端で、心で論争を繰り広げていれば、フッと上から影が降ってきた。
「おっ、可愛いお嬢ちゃん。なんか辛いこととかあったのかい？」
いや、それはない。
無意識に心でそう唱えていた。
顔を上げれば、私の三倍はありそうな巨体、眼力もセットでついてくる。
なんだその麻薬をプレゼントしようみたいなシーンは。
私がキョドっていると、なんとも不思議な生物が近づいてきた。
あ、来ないほうがいいよ。
謎の生物は私を見て、驚いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
