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兄さんは私の手をとり、手の甲に彼の長い爪で何かを描いた。
一般人は入ってはいけないような神聖な雰囲気が漂う。
「ん…いつでもあって欲しい」
がチャリ。兄さんがそう言い終わると同時に、休憩所の扉が開いた。
兄さんは私の手を持ったまま、扉の方を向く。
私も兄さんの隙間から扉の方を見る。
「んあ？…お取り込み中やった？すまんすまん」
私達を一瓶すると、棒読みの如く謝ってくる。
棘棘した金髪が痛く刺さるのは、捏島さんが現れた。
片手には煙草をもっている。
あれ、ここって喫煙所なんだ。中央にある灰皿を見て、初めて知った。
捏島さんが吸うのも以外だった。
先程の挨拶と打って変わって、スバッとナイフを平然と突き刺してくるような冷酷なトーン。
それも驚駭した。
あれ、熱烈な方だとおもっていたんだが。
いや見かけによらずってやつよ。
取り敢えず上司の前と、私は立ち上がり、礼をする。
それから、場所を譲ろうと声をかけた。
「捏島さん、すみません。直ぐにでますね」
「？捏島ってなんや。こいつはコネシマだ、っろ、、」
「ぅわぁあああああああっ」
っ！！
大絶叫が鼓膜を破る寸前までいく。
耳小骨と渦巻管、全てが粉砕されそうだ。
くもりガラスが割れているんじゃないかと心配になったが無事だった。
耳を劈く声は止まり、私は恐る恐る耳から両手を放す。
捏島さんはフゥフゥと肩で息をし、兄さんを睨みつけていた。
兄さんは大絶叫にも慣れたように、目を細め、笑う。
いや、ぶっちゃけこの状況に面白がっている。
「ハァッ、ハァ、、煩わしいで…自分」
「くくっ、面白いな。こいつが、お前の家の元住人だよ。コネシマ、駄犬さ」
「えっ、よかった。怪我でもしてるんじゃないかと…」
私が平然と彼の体に怪我がないか見て回ると、コネシマは驚いたように私を凝視した。
いや、君が人間になれていることに私が一番驚いているんだが。
「いや、はっ？、、驚かんの？」
「ちゃんと驚いてるんで安心してください」
「主サン、慣れてきっちゃった？」
「…もう少し時間はかかりそうだけど。」
そうかえせば、そりゃそうだよと、兄さんは笑った。
いい笑顔の人だな、本当。…人なんだっけ？
コネシマを見れば、ふんわりと微笑んでいる。
安心したような信じられるような、そんな明るさ。
私はコネシマの安否を確認し、安堵していた。
少ししか離れていなかったけど。
神聖的だったけど、こうも予感があたると怖いな。
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