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「こんにちはー、お疲れ様でーす」
「お疲れ様です、先輩」
大学も終わり、いつも通りバイトに駆けつける。
午後に受けたい授業が一時間しかなかったため、スタコラサッサと帰ってこれた。
控え室の扉を控え目にノックをし、顔を覗かす。
すれば、綺麗な檸檬色の髪が見えた。属にいう金髪。
最近見た金髪といえば、グルッペンぐらいだが、彼よりは短髪な印象だ。
その男性はスーツを着こなし、チーノと何かを話している。
新人、には見えない。
ショッピがいつもより疲れたように応対してくれた。
縮こまったようにロッカーへ向かえば、チーノが言う。
「こちら、短期間こっちを手伝ってくれる捏島さんです。まぁ、先輩の本来の用務はかわりませんけど」
捏島さんは、私を見ると、屈託ない微笑を浮かべる。
ショッピやチーノもそうだが、このパチンコ屋はイケメンが多いのだろうか。
パチンコ屋にいないほうが人生良かったんじゃないかと思う人を何人も見てきた私に、それは眩しすぎる。
自己紹介をと流れ的に腰を低くし、定型文を述べる。
「えっと、アルバイトのAです。よろしくお願いします。」
「こいつが言った通り、捏島って言います。短い時間やけど、よろしく」
当たり前のようにさしだされた右手に、手を重ねれば、強く握手をされる。
案外、熱血な方なのかなぁと思う。
正社員のように思えるので、私自身が話したり会ったりするのは少なさそうだ。
エプロンを着て、いつも通りショッピに指示を受ければ、集金袋を持って回収に行く。
気が散らないように侍の如く客の足元により、忍者の如く回収し、さま平然とした顔で次へと。
客にイチャモンをつけられると嘆くなら、最初からつけられないようにすることが大事だ。
心の中で、リハーサルをし、ヨイショってしゃがんで鍵を開けようとした。
サッと黒い影がおちてきた。
騒々しいこのパチンコ屋でも、その声はちゃんと聞こえた。
「おーい、主サン」
「ぅお！？」
私が反射の勢いで、汚い声と顔を上げれば、声を出した本人はケラケラと口元を隠して丁寧に笑った。
パチンコ台に寝そべるように、両腕で顔を隠して今すぐ寝ますよ、と言っている体型で座っている。
赤いクッションで高級感が増した丸椅子に、その者は大人らしさが溢れていた。
紫色のストールをてきとうに巻いて、コートを羽織っている。
「アイツが、お前に会えたと心底嬉しそうに幸福自慢してくるもんだから、久しぶりに帰ってきたわ」
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