[wrwrd]異様なオミセ (ページ10)

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・ⅱ ページ10

シャオロンは私が幾つか質問をしたいといえば、快く頷いてくれた。
役に立てると素直に喜ぶタイプなのか、今も尻尾がユラユラ揺れている。
彼はこの暗い世界には似合わない明るさを持っている。

私自身の自己紹介を弾いたのは、彼が主様で定着している様子だったから。
非常に心苦しいがそこまで意見するものではないだろう。

彼に私がここにいる理由を聞けば、彼は脚で地を叩き始める。

『…考えられるんは、誰かのイタズラ、もしくは意図されたもの。
世界の狭間が繋がったなんてことは一度もないし、あったとしたら大騒ぎになっているはずです。
なので、最初に言った二つの可能性があるんやないかと。』

「な、なるほど…」

ご丁寧に説明された。
この世界というか夢というものを一ミリも理解していない私に全てを教えてくれはしないようで、断片的な部分をチラチラと出されたようなものでもあった。
質問には答えてくれるし、嘘はつかないけれど、言わない。
嘘をつかないというのはシャオロンの意地にもみえた。

彼は尻尾を数回不器用に揺らしてから言う。

『…心当たりはあるんです。着いてくることはできますか？』

申し訳無さそうに下から覗いてくるシャオロンは、言語がわからない人を無理矢理論しているようでもあった。
いいえなんて言わせない。
そんな感じの圧がベットリと身体をつきまとう。

ただ、時間経過を待つことが出来ないなら動くしかない。
情報を持っていない自分が此処から上手く立ち回っていけるとは想像もできず、それに私は賛同した。
彼から情報を聞けばいいものを、自身の身に危険がおきようとも強制はしたくないという心が悪い方向へと賽を投げた。

「す、凄いね、、シャオロン」

『俺は本来入っちゃいけないんですが、、』

ま、しょうがないしょうがない。
申し訳無さそうな気持ちを微塵も感じない声のトーンに身体が震える。

巨大な猫が歩いていても誰も気にしていない。
私の目が可笑しいわけではない。事実だ。

パチンコ屋に入ることをあんなにも躊躇していたのに、付き添い人がいると不安とかそういう類いのものを感じなくなるのは人間の本質の欠点だろう。
彼が先導をきってくれることもあって、怖いという気持ちは薄まっていた。

煩わしい機械音はないが、金の音、声。
様々な音が反響っぷりを伝えていた。

巨大な体型のものから、動物の形、最早何なのかわからないものまで多種多様に集まっていた。
本当に人間はいないのか。