恋と笑いは紙一重【芸人短編集】

センセイ【ネプチューン 名倉】 ページ10

Misa6さんのリクエストです。




・


学校の校庭に落ちている石を、こつんと蹴った。ころころと転がる石を眺めていたら、後ろから誰かに肩を叩かれる。後ろを向くと、担任の潤ちゃん先生がいた。



名｢何してんのそんなとこで。友達とドッヂボールやらんのか？｣


『ドッヂボール苦手だもん。それより潤ちゃん先生暇なの？』


名｢名倉先生って呼べや。暇人ちゃうし。｣




私はその場にしゃがみ、潤ちゃん先生も隣に腰をおろす。今は学期末の学年レクリエーションをしていて、男女ともボールを投げ合い楽しそうにドッヂボールをしている。その姿をしばらく見ていると先生の方から話しかけてきた。



名｢Aももう卒業かー。早いなぁ。進学やっけ？｣


『うん。近くの専門学校。』


名｢そこ確か頭ええやろ？入試受かるんか？｣


『多分。』


名｢なんやねん多分って。｣




潤ちゃん先生は口元を緩ませて微笑んだ。すると「ならさ」と言葉を紡いだので、私は先生の方を見る。




名｢Aがその学校合格したら何でも願い事聞いたるわ。｣


『願い事？』


名｢おう。｣


『………じゃあ、』




私はしばらく考えて、先生から目を逸らす。小さく息を吐いて、口から言葉を絞り出した。




『私のこと、好きになって下さい。』





先生は目を見開いて、口を開けるがその口から声は出なかった。友人にドッヂボールに入ってくれと誘われて、私は二つ返事で了解してコートの中に駆け込んで行く。先生の返事を聴きたくない事もあって、私は振り返りもせずにその場を後にした。






・



もう好きやわ。





その声は私の耳には聴こえなかった。

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