第15球 その時 ページ16
翔平said
事務員「完了しました。どうぞお幸せに。」
僕とAさんは顔を見合わせて微笑んだ。僕たちは今、日本に戻って来ていて婚姻届を提出したところだった。これで晴れて僕たちは、正真正銘の夫婦だ。
大「これからは大谷Aですね。」
『でも小谷から大谷ってそんなに変わらないんですけどね。あとは、お腹の子達が産まれてきてくれるのを待つだけですね。』
大「そういえば僕、名前考えてたんです。」
『えっ、本当ですか?どういう名前ですか?』
大「お兄ちゃんの方はy…((
僕は声を呑んだ。いきなりAさんがその場にうずくまってお腹を抱えた。僕はいきなりの事に彼女の肩を慌てて支える。
大「だ、大丈夫ですか!?」
『お腹が……。』
大「予定日はまだ、二週間後のはずなんですけど……。」
『きっと、飛行機に乗ったのでびっくりしてっ……。』
大「取り敢えず今はっ、近くの病院に行きましょう。」
僕は急いでタクシーを呼んで近くの病院に向かった。Aさんのご家族も電話で呼んだが、福岡から来るには時間がかかりそうで、僕は不安で仕方なかった。病院につくと医者の方がAさんを分娩室へと運ぼうとした。
医「旦那様は、部屋の外でお待ち下さい。またお呼びしますから。」
大「妻は、大丈夫でしょうか。」
医「心配ありません。今のところ問題はありませんので、お待ち下さい。」
医者が部屋の奥に消えていき、僕は1人冷たい廊下に残された。心配で、不安で、気になって。立ったり座ったり脚を組んだり手を遊ばせたりと、ソワソワといてもたっても居られなかった。
早くAさんの顔が見たい。
そう思って何時間経っただろう。分娩室の部屋の赤いランプがカチッと音をたてて消えた瞬間。大きな鳴き声が聞こえた。
僕の頬を伝った何かが、服にシミを作っていった。
ラッキーマスコット
トラッキー
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作者名:ユカリ | 作成日時:2017年10月25日 22時