第十二話 恋愛相談 ページ13
りょうside
5月某日。太陽が雲から覗く晴れのような曇りのような不安定な天気の日、今日は俺の親友である俳優の岸田タツヤが岡崎に遊びに来ていた。
今日もいつものように俺のアストンマーチンにタッちゃんを乗せて、岡崎市内をドライブする。タッちゃんもいつも通りノリノリで助手席に乗り込んできた。
岸｢いや〜、久々にでっかい仕事入ったからさぁ。岡崎遊びに来ちゃった｣
り｢既に恒例行事と化してるもんね｣
岸｢で？りょうくん相変わらずお変わりなくですか？こっちの方は？｣
タッちゃんはニヤニヤしながらこちらに向けて小指を立てる。相変わらず彼女はまだ居ないのかと俺に向かって無言の圧力で聞いてきた。これも恒例行事だ。
り｢彼女ねぇ、そりゃあ考えればわかるでしょうよ｣
岸｢はー！やっぱり！りょうくんとは気が合うわー。俺も相変わらず彼女はいません！｣
り｢彼女はおらんけどさぁ、ちょっと相談のって欲しくて｣
岸｢ほぉ？恋のお悩み？｣
り｢まぁ…そんな感じかなぁ｣
岸｢えっ！好きな人出来た！？｣
り｢まぁまぁ、ちゃんとひとつずつ話してくから｣
俺はぽつりぽつりと最近の恋愛遍歴を語り始めた。いや、高校の頃から片想いしてたのを気付いたとなれば、割と最近ではないのかもしれない。親友相手でもこんな話をするのは初めてて、喉が渇いてアイスコーヒーを一口飲んだ。プラスチックカップの結露が手にまとわりつく。
り｢で、その好きな人ってのが…｣
岸｢皆まで言うな。伊達にりょうくんの親友やってないからねー。ズバリ……Aちゃんでしょ？｣
り｢…バレた？｣
岸｢はー！やっぱり！もう話聞いてる途中から言いたくてうずうずしてたんだよー！高校の同級生ってとこからもう分かってたー！｣
り｢はっず笑｣
岸｢いやでも…、そういやAちゃんっててつやと付き合ってんじゃん！｣
り｢それは分かってるけど｣
岸｢諦めたくないって？｣
り｢んー…｣
岸｢男だね〜りょうさんも｣
タッちゃんはケラケラと笑ってスマホをいじり出した。小っ恥ずかしいような、誰かに打ち明けられて少しスッキリしたような、むず痒い感覚。ただ今気づいたのは現時点彼女がいないこの人に恋愛相談する俺は間違ってるんじゃないか？ということだった。
岸｢あ、今余計なこと考えたでしょ｣
り｢え、なんで分かんのキモッ｣
岸｢キモいは言い過ぎ！｣
り｢ごめんって笑｣
俺はぷくっと頬を膨らませた彼を横目にハンドルを握り直した。
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作者名：べりー | 作成日時：2022年5月10日 19時
