第二十八話 ページ29
『入っていいよ』
｢おじゃまします…｣
初めて上がり込んだ彼女の家は、年季の入ったアパートの外装からは想像も付かないような白を基調とした清潔感のある家だった。
｢どっか遠くって…どこ行くつもりなんだよ｣
『全然決めてないけど…光くんと一緒なら何処にでも行くよ』
｢キャリーケースとか用意してねぇの？｣
『うん。必要最低限のものだけポシェットに入れたから、それだけで何とかなるかなって』
｢…その前にさ｣
『うん？』
俺が彼女の元に歩を進めると、彼女は柔らかく笑って腕を広げた。その腕に吸い込まれていくように、収まっていく。
｢…シよ｣
『え？』
｢俺まだ一回もAとシてない｣
『うん…そうだね』
｢だからシよ｣
『…わかった』
…心臓の音と吐息が充満し、どこからが聞こえてきた下校中の小学生達の声が、幻のように遠ざかっていきました。
思い返せばこの30数年間、結局ただの一度も人と分かり合えたことは無かった。
ただの一度も。
『フゥ…フゥ…』
下着姿でベッドに寝そべる彼女の下着を不慣れな手付きでずらしていって、秘部に手を滑らせていく。
『あ…』
左手で太腿を押さえつけ、余った右手で反り立ったモノを捩じ込むともはや煮えた腟内を掻き混ぜる行為を制止することは出来ず。
『…う、う…ｯフッフッ、フッ…』
所詮この娘も只の女なのだという落胆と喜びが複雑に絡み合い、重力に身を任せひたすらに堕ちていく快感の中で俺は。
『う"っ…、ぎ…ぎ…っ』
俺は、
『そのまま……』
このまま二人、ヘドロのように溶けて混ざり合って死んでしまえたら。
『中で、出して。』
俺から飛び出た白濁とした液は、彼女の右胸の上を滑って通過していった。その液体を指に搦めて濁った瞳で見つめた彼女は、天井を見つめたまましばらく黙っていた。
『………いくじなし』
ベッドのシーツには赤黒い血液が染みを作っていて、彼女の秘部はその色で染っていた。
『光くんは私のこと好き？』
｢…好きだよ｣
『じゃあ、私も好き』
｢……行こうか、そろそろ｣
どこか遠くに。
・
君とタクシーに乗り込んで、東京駅まで向かった。
これでいい。すべてが在るべき場所に収まった。
つまりこの世界は俺のものというよりむしろ、
俺の世界は、君のものだったんだ。
止まっていた時間が、ようやく進み始めたのです。
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skmhlily0(プロフ) - 読み入ってしまいました。シリアスものが好きなのでとても面白かったですし、表現も素敵でした！最後どうなってしまったのか気になります、、！ (2021年4月21日 1時) (
レス) id: a667278346 (このIDを非表示/違反報告)
まお - とても面白かったです！野田さんでまたお話書いてほしいです、今度はラブコメとかで（笑） (2021年4月21日 0時) (レス) id: 88e2cb16f6 (このIDを非表示/違反報告)
べりー(プロフ) - あやかさん» コメントありがとうございます。まだまだ拙い文章ですがこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します。 (2021年3月28日 20時) (レス) id: f9102047d4 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - とても素敵な作品で感動しました。お二人の行動も言動も自然で読んでいて違和感なくスッと入ってきます。切なくて続きがどうなるのかドキドキしてたまりません。これからも更新楽しみにしております。お身体に気をつけて無理せず執筆なさってください。 (2021年3月26日 0時) (レス) id: 28c50f8619 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむ | 作成日時：2021年3月2日 18時
