恋と笑いは紙一重６【芸人短編集】

とことん飲もう、皆で飲もう 【アキナ牛シュタイン】 ページ36

みのさんのリクエストです。









・


｢やって髪もボサボサやし、オシャレとかせぇへんし。女の子らしさがないっちゅうか。もう別れてもろてええ？｣




その言葉が頭について離れない。昨日、約半年ほどしか付き合っていない彼氏にフラれた。半年って……中学生やん。




まぁ、ガサツやし。ファッションとか分からへんし、流行には興味あらへんし。私はイマドキの若者文化に着いていけない、若者やった。

こんななら、あんないい文句で呆気なく彼氏にフラれても仕方ない。




私はぼうっとしながらテレビ局を歩く。私にはこの番組ADの仕事が一番似合っている。誰かの下っ端として目立たずに生きて行くのが丁度いい。


するとある人と方がぶつかる。
私はのろっと顔を上げた。






河井｢あ、すんません。って、Aさんやないですか。｣


『あっ、こちらこそすみません。河井さん今日サンテレ入りですか？てことは……バツウケ？』


河｢そうですよ。あと、さっき何や暗い顔して歩いてましたけどどうしました？｣


『いや、何でもないですよ。』




私は苦笑いをして首を振る。が、河井さんは私の目を見て言ってきた。




河｢今日、よかったら俺らと飲み行きませんか？｣


『え？』


河｢ほなら、決まりですね。｣


『え、ちょ…。』




河井さんはそのまま、駆け足で廊下を走って行った。







・


その後、アキナ牛シュタインさんと居酒屋に飲みに来てしまった。よく分からない流れだが、取り敢えず食事はとっておこう。




水｢Aさん、今日口数少ないですね？｣


山｢俺もそう思う。｣


『いえ、何でもないですよ？』


秋｢ホンマですか？｣


稲｢……あ、｣





稲田さんは小さく呟く。するとごにょごにょと隣の川西さんに何かを話して、それが皆さんへと伝わっていった。




川｢Aさん。今日は飲みましょうよ。｣


『は、はい？』


河｢そうですよ！ほら、ビール。……次にええ人を見つければ良いんです。｣





河井さんの言葉に、私は気付く。私は今日、フラれた彼氏から貰ったペアリングを付けて来てなかった。稲田さんはそれに気付いて、私の事を察したのだ。



山｢じゃ、乾杯始めましょうかー。｣


秋｢ほなら、アキナ牛シュタインとAさんに。｣


皆｢かんぱーい！｣






私の頬が自然と上がってくる。
今日は、飲もう。


皆で飲もう。

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