君に興味なんてない 2 (ページ22)

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72(side T) ページ22

バタン、と音を立てて閉まったドア。

Aのことを呼び止めて、追いかけることだって出来るはずなのに、なぜだかこういうときに限って足は動かない。

結局、そのままその場にしゃがみ込むのが精一杯で。

Aと目が合った瞬間、胸の奥のほうがギュッとなる感覚とそれと同時に何かが弾ける音がした。

それがどういう感情のものなのかはよくわからないけれど、なんだか少し懐かしくてむず痒い感覚がした。

その感覚を誤魔化すかのように口走った「すんごいブス」って言葉はたしかにまずかったかもしれない。

それは自分でも分かってる。分かってんだけど。

なんていうか、あのままだと頭のなかの何かが弾けてわけわかんなくなりそうだったんだから、仕方ないじゃん。

もっと言葉を選べばいいんだけど、どうにもこういうときの言葉の選び方が俺は下手らしい。
まぁ元々上手いわけじゃないけど、こういう場面のときにより際立つっていうか。ダメになるっていうか。

まだ燻っている胸の奥のほうにあるなんとも言えない感覚。

「ねぇ、俺の胸。なに考えてんの」

答えなんか返ってくるわけないけど。

まだゆらゆらと揺れるその感覚だけははっきりとそこにいた。

・・・今度会ったら、ごめんって謝ろう。

謝るくらいなら最初から言うな、とかAに怒られるだろうけど。

でも、きっとAなら怒りながら許してくれるはずだ。

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