君に興味なんてない 2 (ページ2)

今日:24 hit、昨日:3 hit、合計:131,854 hit

52 ページ2

ドアから見えた綺麗に手入れされた金髪。

知っている香水の香り。

「ありがとうございました～」ってちょっとだけ間延びした、でもよく通る声。

…なんで、ここに大我くんがいるの。

ヤバい、とすぐに身を潜めたつもりだったけれど、時すでに遅し。

私が扉を閉めようとする寸でのところで、大我くんが運悪くこちらを振り向いてしまった。

閉まりかかる扉の狭間でばっちりと目が合った。

「なにしてんの」

不機嫌なのが嫌でも分かる声。

扉を閉めようにも残念ながら大我くんの足が扉の隙間に捩じ込まれて阻まれてしまう。

見下ろされ、向けられた冷たい視線が苦しい。

「…仕事ですが、」

「んなのわかってる。俺が聞きたいのはそういうことじゃなくて」

大我くんが言わんとしていることはわかるけれど、敢えてそれに気づかないふりをしてはぐらかす。

そんな私に大我くんが若干苛立った様子を見せた。

「話したいんだけど」

「私は特にお話することはありませんので」

「なにそれ」

「京本さんと繋がりなど何もありませんから」

「ねぇ、だからなんなのそれ」

大我くんの語尾が少しずつ大きくなっていく。

綺麗な彼の顔が歪む。
そんな顔してたら、綺麗な顔が台無しだよ、と思わず手を伸ばしてしまいそうになるのを堪える。

ふと廊下の遠くから誰かの話し声が近づいてくるのが聞こえた。
大我くんもそれに気づいたのだろう。

慌てた様子で扉の隙間に捩じ込んだつま先をグイッともう一度入れ込む。

「中、誰もいない？」

大我くんは扉の隙間から部屋の中を素早く確認すると、私の返答なんて聞くまでもなくそのまま部屋の中へと入ってきた。

「ちょっ、大我くんっ、」

「…やっと名前で呼んでくれた」

バタン、と音を立てた扉の中。

咄嗟にでた彼の名に慌てて口をつぐめば、こちらに向けられた視線が少しだけ柔らかくなった。

「ねぇ、なんで連絡くれないわけ？俺、ずっとメッセージ送ってんのに全然既読にもなんないし、家に行ってもいつもいないし。俺、なんかした？」

険しい顔のまま、大我くんが矢継ぎ早に言葉を紡いでいく。
一瞬、その勢いにたじろいでしまいそうになるのを足先にぐっと力を込めて堪える。

「京本さんは、なにもされてませんよ？お気になさらず」

「だからなんなんだよ、それ」

.