君に興味なんてない (ページ36)

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「そういうわけじゃ、」

「そういうわけじゃないなら、連絡先交換しても別に問題なくない？」

「そうですけど、」

それともなんでこんなことになってしまったのだろう。逃げる術もなければ、うまく交わせるほどの知恵も頭には浮かばない。

「じゃぁ交換しよ」

「ジャニーズがそう簡単に連絡先を教えていいんですか？」

「別に簡単に教えてるわけじゃないし。これでも一応、この人はいいとかダメとか自分なりに判断してるし」

「はぁ」

「信用してねぇって顔してる」

「そりゃそうでしょう」

だって私なんかの連絡先を手に入れたってなんにもいいことなんかないだろうし。
でももうどんなに私が抵抗をしたところで、結局は田中さんの手のひらで転がされるだけだ。

はい、とスマホを取り上げられて次の瞬間に帰って来たときには、田中さんの連絡先が登録されていた。

「いつでも連絡していいからね」

「連絡することなんてないと思いますけど」

「ねーえ！プライベートで仲良くしたいって言ったでしょ、俺」

田中さんが眉を下げて子供みたいに拗ねた顔を浮かべる。

「別にいいけど。俺が一方的に連絡しまくるし」

「しつこい男の人ってモテないって言いますよ？」

「残念、生憎モテちゃうのよ、俺」

「うっわぁ」

「ねぇ、そんな引いた顔しないで？！」

田中さんがモテるというのは噂で聞いたことがあるし、たしかにインタビューだったりこうやって話してみたりするとその人当たりの良さと懐に上手いこと入り込んでくる感じはモテるのも納得って感じ。
私にはない感じが少しだけ羨ましいとも思ってしまう。

「モテたら不安？」

「まぁ自分の恋人とかだったら気にするでしょうけど、田中さんだったら別に」

「そこは気にしろよ」

そう言ってまた壁際に追い込まれて。

またしても逃げ場のないこの状況に喉が詰まる感覚。

「俺のこと、興味ない？」

ぐいっと近づけられた顔。
それと同時にふわり、と香る田中さんの香水が鼻先を掠めていく。

この状況を脱するにはどうしたらいいのだろうか。必死に頭を回転させるけれど、いい案は全く浮かんでこなくてポンコツな自分の脳みそに腹が立つ。

「ねぇ、どうなの？」とまた一段と田中さんの距離が近くなる。
あぁもう、どうしよう。

そう思ったときだった。

「ねぇ、なにしてんの、2人で」

その声の方向へ視線を向けると、そこには不機嫌そうな顔した京本さんが立っていた。

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