君に興味なんてない (ページ4)

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「ストーカー、ってきょも、お前何言ってんの？」

京本さんの隣に立つ細身の人物がその凍った空気の中、小さな笑い混じりに声を上げた。
この人は、多分、田中さんだ、と予習してきた内容を辿る。

っていうか。

あのときストーカー呼ばわりしてきた男がまさか京本さんだったわけ？？
ほとんど見えない中でも綺麗な顔してるな、とは思ったけど。

そう言われ、よくよく京本さんの顔を見ればたしかに一昨日の夜の人物と一致するようなしないような。

「一昨日さ、家に帰る途中でさ変なやつに付き纏われたんだよ」

「え、まじかよ大丈夫だったん？」

「いつものヤラカシ軍団かと思って、まぁいいやって気にしてなかったんだけど。そしたらさ、違って」

チラリ、とこちらに向けられた視線。
田中さんの視線も追うように私のほうへと向けられた。

「で、そいつがさ、この人だったわけ」

「え、はぁあ？！」

田中さんの馬鹿でかい声が部屋の中に響き渡る。
それとほぼ同時に一斉にこちらに集まる多くの視線が痛い。

「違うんです、誤解なんですって」

「へぇー？」

あからさまに疑ってます、って風の視線が京本さんから投げかけられる。

あのときもそうだったけど、なんでそこまで好戦的なんだろうか。
一ミリも自分に非があると思ってない感じに思わず違うのに謝りたくなる衝動に駆られるのけれどそれをグッと飲み込む。

「私は家に帰るのに早足で歩いてただけです。それがたまたま京本さんを追う形になってしまっていただけで」

「ふーん、」

「それに」

「それに？」

「私、ジャニーズには興味が一切ないので」

そう。部長が昨日言った言葉。

『お前、ジャニーズとかイケメンとか全然興味ないだろ』

そんな理由で欠員の代替要員に抜擢されるってどうなの、とは思うけど。
会社的にはミーハーな人間を現場に送り込んで何か問題を起こしたら困るので、それならジャニーズに一切興味がない私が適任だ、と考えたのだろう。

「ふはっ、まぁじ？興味ないの？」

「申し訳ないですが…昔、友人に勧められたりもしたのですがどうにも」

これからインタビューする相手なのだから興味のあるフリをしたほうがいいのは分かるけれど。
でも、京本さんが疑いの目を向ける以上、私は私で戦わなければならない。

正直に言う私に田中さんは「おもしれぇー」なんてお腹を抱えて笑っている。
その隣には、未だに不服そうな顔を浮かべた京本さんがいた。

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