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嫌だ嫌だと思っていても時間というのは無情にも過ぎていくもので。
部長から言われた日にちは少し先にだと思っていたのに、あっという間にその日の朝を迎えてしまった。
起きてすぐ漏れ出すため息が体がズシン、と重くした。
SixTONESのインタビューの前にいくつかの細々と終わらせて、現場へと向かう。
向かう最中も胃がキリキリと痛む。
普通のインタビューならば別にどうってことないのだけれど、自分のことを敵視している人間と会わなければならないというのはどうにも気が重い。
かと言って先方からのご指名ということであれば断ることも出来ないから余計厄介だ。
…あぁもうほんと嫌だ。
リスケになれとかそんな贅沢なことはもう言わないから、せめて余計な波風が立つことなく平穏無事に終わって欲しい。
そう願いながら、目をギュッと瞑った。
現場に着けば、彼らはすでに到着していた。
「すみません、お待たせしてしまって」
「別に待ってないから謝んないでー前の現場が巻きで終わっただけなの」
そう言ってジェシーさんが明るい笑い声をあげる。
「それよりなんだかすみませんね。マネージャーにまたAさんにお願いしたいな、ってぽろって言ったらまさかまさかで通っちゃって。迷惑じゃなかったです？」
田中さんが眉を下げ、目尻にシワを寄せながらこちらを見た。
「迷惑だなんて…ちょっとびっくりはしましたけど。私はあくまで代替要員だったので。でもこうしてまた皆さんにお会いできて嬉しいです」
「ほんとに〜？そんなこと言われたら俺ら調子乗るよ？」
「これからずーっとAさんにお願いしようぜってなっちゃうよな。Aさんの書いた記事、めちゃくちゃ評判良かったんだもん」
森本さんとジェシーさんがそう言って笑うと、隣にいた高地さんが「お前ら調子乗りすぎ」なんて顔を顰める。
そんなガヤガヤとした中で、時々視界に入る京本さんの姿。
京本さんは周りに合わせて笑い声をあげたり、時々何か話したり。
この前のように私に対して攻撃的な発言をすることはなく、YouTubeで見るそのままだった。
それだけで先程まで感じていた胃の痛みも少し和らいでいく。
よし、頑張ろう、と小さく意気込んで手を握った。
さぁインタビューの始まりだ。
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作者名：もえぎ | 作成日時：2021年12月26日 17時
