104:繋ぐ ページ4
仕事もそこそこにこなして、やっと一息ついたところでデスクに置いていたスマホに目を向けると、ちょうどメッセージが来たことを知らせ画面が明るくなる。
松村今日、会えませんか
A大丈夫ですよ
松村よかった。じゃあ最寄りで
短いやりとりだけど、それだけで嬉しくなってしまう。
「え、スマホ見ながら笑ってんのきも」
横を見れば京本が眉間に皺寄せてこっちを見ていた。
慌てて口元を押さえれば「遅いわ」なんて笑われた。
#
波が箱から溢れ出すみたいに電車が到着した駅は、人でごった返す。
人混みの中を掻き分けるように歩いて、ようやく改札を出てやっと息が出来た気がした。
駅を出てすぐのコンビニの前。
ガードレールの縁に腰をかけた松村さんの姿が見えた。
スマホを見ながら、片手はポケットに入れているそんな何気ない姿がやけに絵になっている。
その人が私のことを待ってるなんて、なんだか変な感じがする。
もう少しだけ、声を掛けずに松村さんのことを見ていようかな、なんて思っていたら顔を上げた松村さんと目が合った。
「あ、Aさん」
私の姿を見つけ、松村さんが笑った。
小さく手を振り、松村さんのもとへと向かう。
「待ちました？」
「ううん、俺もさっき来たところです」
「松村さんってそういうこと言うタイプの人なんですね」
ふふ、って笑う私に松村さんは「なんのこと？」ってきょとんとした顔。
「…実はちょっと前から松村さんのことを見てました」
「うっわ、まじ？恥ずいんですけど」
口元に手を当てて照れる松村さんは可愛らしくて愛おしくなる。
「本当言えば30分前くらいからいました。早く、Aさんに会いたかったんで」
「…そんなストレートに言われると恥ずかしいんですけど」
今度は私が手で顔を覆う。
その手を剥がすように松村さんの手が重なる。
「いいじゃないですか、もう、両思いだって分かったし」
「そうですけど」
でもまだその実感もあまりないし、恥ずかしさのほうが上回るんだもん、仕方ない。
「とりあえず、行きますか？」
「はい、」
「慎太郎のとこでいいですか」
「もちろん」
私たちは手を握り直して、ゆっくり歩き始める。
松村さんと何度もこの道を歩いたはずなのに、今日はいつもと違って見えるだなんて思うのは単純過ぎるだろうか。
繋いだ手に視線を落とす。
伝わる熱に嬉しくなって、自然と笑みが溢れた。
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さーや(プロフ) - Hano.さん» お返事遅くなってしまいました、すみません…本編最後までお付き合いいただきありがとうございました！！番外編も少しずつですが更新していくので楽しんでいただけると嬉しいです〜！ (2021年11月2日 21時) (
レス) @page16 id: 4b2ff4c864 (このIDを非表示/違反報告)
Hano.(プロフ) - 何度もコメントごめんなさいですが、完結おめでとうございます！！いつも更新を楽しみにしてました！きょもほくの取り合い？みたいな所が個人的にお気に入りです^ - ^番外編も楽しみにしてますね！ (2021年10月25日 23時) (レス) @page13 id: c16f775043 (このIDを非表示/違反報告)
もえぎ(プロフ) - Hano.さん» はじめまして、コメントありがとうございます！お話楽しんでいただけているようで嬉しいです〜更新ゆっくりではありますが、読んでいただけると嬉しいです！ (2021年10月20日 21時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
Hano.(プロフ) - はじめまして！いつももえぎさんの作品に癒されています！すとおたの友達いないのめっちゃわかります！！これからも更新楽しみにしてますね！！ (2021年10月20日 7時) (レス) @page2 id: 274f9384a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もえぎ | 作成日時：2021年10月19日 17時
