96-こんな気持ちになるなら ページ47
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学校内で凪くんと2人で過ごすことはなくなったし、言葉を交わす機会さえなくなった。
あるとしても、玲王を交えて3人でちょっとした会話をするくらい。といったって、その会話もサッカー関係、部活関係の業務的なものだ。そんな些細な話をする時でさえ、凪くんとは目が合わない。彼の視界に私は映らない。
それだけのことが、すごく苦しくて。
恋人のフリをして、別れて
最後に残ったものは何も無かった。
クラスメイト、同じ部活、
そんなありふれた関係性でしかない私達。
もう今は目が合うことすらない。
噂なんて気にせずに貴方が好きだと叫んでいればここまで悪い結果にはならなかったのかもしれない。でも、卑怯で臆病な私はそんな勇気は持てず、繰り返される穏やかな日常を過ごすことを選んでしまった。
「間宮」
「…………凪くん？」
部活が終わり、校門までの道のりを自転車を引いて歩いていれば後ろから声を掛けられた。
凪くんから声を掛けてくれるなんて思っていなかったので、少しだけ心が浮わつく。
でも、そんな浮かれていた気持ちはすぐに間違いだったと悟る。
「これ、返す」
「え？」
「もう俺ん家にあっても邪魔なだけだから」
凪くんが面倒くさそうに渡してきたのは、無地の紙袋だった。
もう恋人のフリをしていた時の優しさの片鱗が見えない彼に緊張しつつも、重みのある紙袋を受け取って軽く中身を確認する。
……あ。
そこには、凪くんの家に置かせてもらっていた私の服やらシャンプーやらの私物が全て入っていた。
これはさすがに、……きつい。
もう凪くんに私の存在は必要ないのだと、暗に証明された気がして。
「じゃ、それだけ」
「…」
紙袋を手にしながら、もう決して振り返ってくれない背中が見えなくなるまでその場で立ち尽くしていた。
その後、どうやって帰ったのか思い出せない。
家に帰ったらただいまを言い忘れたまま真っ先に自室に向かって、紙袋をベットの上に力任せに投げつけた。
その拍子に紙袋から少し飛び出す、パジャマや洗顔道具。今とはかけ離れた、1番幸せな頃の思い出達。
そんなのを見たら
私はもう、泣くしかなかった。
この涙は悲しいから？苦しいから？怒っているから？
全部の感情がごちゃ混ぜになって、飲み込まれそうになって。
後悔が心に沁みる。
こんな気持ちになるなら、
凪くんが好きだなんて気づかなければよかった。
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はむスター(プロフ) - 夜夏さん» 凛くんの強者感が滲み出てますね😂 (2023年2月9日 17時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
夜夏 - 凛ちゃんの『勝った』が、めっっっちゃ好きです…！ (2023年2月8日 22時) (レス) @page46 id: 8f15f4a9c1 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - みはさん» ありがとうございます！夢主と同じ気持ちでお読みいただければと思います💪 (2023年2月7日 10時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
みは - ここからどうなるのかドキドキです😭🫶🏻 (2023年2月6日 21時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 咲菜さん» 守るためとはいえ嘘をついて自ら離れていく選択は辛いものがありますね😢長い間お読みくださってるんですね、ありがとうございます！☺️これからもワクワクしながら読んでいただけるよう頑張ります！💪 (2023年2月6日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月20日 17時
