92-紫蘭(4) ページ43
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凪誠士郎視点
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あのバレンタインデーの一件以来、Aとはよく話す仲に……というわけもなく。
Aが好きだと自覚してからも特に行動を起こす気はなかった。
ただただその静かな初恋を胸に秘めたまま、変わらぬ日々を過ごしてきた。
テスト期間が近づいてきたり数学で難しいところがあれば参考書を片手にAが話しかけてくれたり、という小さな幸せはたまにあったけれど。参考書をもたないAと話す機会はなかった。
そうして時は流れて進級した。何の因果か、またAと同じクラスになれた。柄にもなく、存在するのか分からない神様に感謝した気がする。
とは言っても俺達の関係性は平行線なまま。
きっとAもアイツが好きなまま。
5月に入ってすぐに行なわれた体育祭では、借り物競走で「背の高い人」を引いたAが、真っ先に俺を選んでゴールまで連れてってくれて。お題の内容よりも何よりも、Aの選択肢の中に入れたことが嬉しかった。
それからすぐ、お金持ちの息子の人____レオと出会った。いきなりサッカーやろうぜなんて誘われて何だこいつって思ったけれど、その熱意に負けて一緒にサッカーをすることになった。サッカーは面倒くさいけど、レオといるのは悪くなかった。
予想外のラッキーもあった。Aがサッカー部のマネージャーだった。サッカー部に入れば、Aにもっと近づける。
Aはレオと幼馴染だった。俺とレオとAの3人でいることも増えた。
Aがレオに向ける笑顔は、俺やその他の人に向けるのと全くの別物で。幸せという感情をそのまま表したような、透明な笑顔。その笑顔を見るたびにくらりと眩暈がしそうになるが、視線はレオに注がれているのでひっそりと傷付く。
少しずつ、Aと関わる機会が増えていく。
部活だけでなく、教室内で他愛のない話をしたりもする。ラインとかやってなかったけど、「連絡取れたら便利だからお願い」とAに言われてアプリをインストールもした。
前までは想うだけでよかったのに、徐々に欲張りになっていく。
だから、あの日。はじまりの日。
2人きりの教室で一世一代の大ギャンブルを仕掛けた。
「俺の彼女になって」
ねえ、A。
お願いだから、こっちを見て。
笑って。
俺のこと、好きになってよ。
最初から今までずっとずっと変わらない、
君が好きだという気持ち。
でもこれからは、隣にいられない。
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はむスター(プロフ) - 夜夏さん» 凛くんの強者感が滲み出てますね😂 (2023年2月9日 17時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
夜夏 - 凛ちゃんの『勝った』が、めっっっちゃ好きです…！ (2023年2月8日 22時) (レス) @page46 id: 8f15f4a9c1 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - みはさん» ありがとうございます！夢主と同じ気持ちでお読みいただければと思います💪 (2023年2月7日 10時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
みは - ここからどうなるのかドキドキです😭🫶🏻 (2023年2月6日 21時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 咲菜さん» 守るためとはいえ嘘をついて自ら離れていく選択は辛いものがありますね😢長い間お読みくださってるんですね、ありがとうございます！☺️これからもワクワクしながら読んでいただけるよう頑張ります！💪 (2023年2月6日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月20日 17時
