53-騎士とプリンセス ページ4
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さっきよりも少し早歩きの凪くんに連れられて、互いに何も話さないまま目的地に着いた。
ここに来るのは2回目だ。
バタン、と扉が閉まる。その瞬間、
靴も脱がずに玄関先で勢いよく抱き締められる。背中が扉にぶつかって鈍い音が響く。今の近所迷惑だったかな、と焦ったのはほんの一瞬だった。
ひゅっと息が止まる。
目の前に、ひどく熱っぽい凪くんの瞳があったから。
「凪、く……ん、」
ゆっくりと瞼にキスが降ってくる。続いて鼻、そして頬にも。
その一つ一つの動作がとても優しくて、まさに宝物として扱ってもらっているみたいで。
心がふわふわとしてくる。凪くんに酔ってしまいそうになる。
「……Aは、してくれないの」
そう言って子犬みたいに目をきゅるんとさせる凪くんにんぐっと変な声が出そうにする。身長めちゃくちゃ高いくせになんでそんなに上目遣い完璧なの……！
この瞳に見つめられて、断られる勇者はいるのだろうか。少なくとも私は、勇者ではなかったらしい。
きっと頬あたりへのキスを予想しているであろう彼の裏を取りたくて、私の背中に回っていた片手を取る。
そしてちゅ、とその手の甲に口付けた。
ちら、と視線を上げて反応を確認してみれば、恋に落ちたような心ここに在らずな表情がそこにあった。
「……なんかA、
茶化したりするわけでもなく、真剣にそんなことを言ってくるものだから。思わずふはっと吹き出してしまった。雰囲気を壊してしまうのは理解してたけど、まさか凪くんの口からそんな言葉が出ると思わず、つい堪えきれなかった。
「はは、私が
「えーやだ、プリンセスはAがいい」
「一人二役？」
「Aがプリンセスなら俺が
「……なんかこの会話、バカップルみたいで照れるね」
客観的に見てしまえば、騎士だのプリンセスだのって物凄く他人には聞かせられない話をしている気がする。
「だってバカップルでしょ、俺ら」
さらっとそう言った凪くんに目をパチクリさせているうちに、彼は靴を脱いで家に上がっていった。
じわじわと顔が熱くなってくるのを感じながら「……おじゃまします」と言うのが遅れていた挨拶をした。
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はむスター(プロフ) - 夜夏さん» 凛くんの強者感が滲み出てますね😂 (2023年2月9日 17時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
夜夏 - 凛ちゃんの『勝った』が、めっっっちゃ好きです…！ (2023年2月8日 22時) (レス) @page46 id: 8f15f4a9c1 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - みはさん» ありがとうございます！夢主と同じ気持ちでお読みいただければと思います💪 (2023年2月7日 10時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
みは - ここからどうなるのかドキドキです😭🫶🏻 (2023年2月6日 21時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 咲菜さん» 守るためとはいえ嘘をついて自ら離れていく選択は辛いものがありますね😢長い間お読みくださってるんですね、ありがとうございます！☺️これからもワクワクしながら読んでいただけるよう頑張ります！💪 (2023年2月6日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月20日 17時
