70-恋ではないはずの ページ21
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駐車場のガードレールに寄りかかり、アイスを食べる。
夜だというのに時折響く蝉の声が、蒸し暑さを際立たせる。
「おいしー。やっぱモナカ最高」
「オレンジもいいよ」
「ほんと？一口交換こしようよ」
「うん」
そしてお互いにアイスを一口食べさせあって、美味しいねって笑い合う。
凪くんと暑いと汗をかきながらもコンビニに来て、アイスを買って食べて、美味しいねって。たったそれだけのことがすごく幸せで。
……ずっと、ずっとこんな時間が続けばいいのに。
最近そんなことばかり想ってしまうのは、いずれくるこの関係の終わりに寂しさを感じている証拠かもしれない。
夏はまだ始まったばかりだというのに、もう夏の終わりがくるのを惜しんでいる。
アイスを食べ終えた凪くんが棒を咥えたまま言う。
「ねー。レオさ、別れたじゃん」
「……うん」
その話は有名だ。玲王は夏休み前のあの日、彼女さんと別れたらしい。あの日とは、……玲王と一悶着あった日だ。
棒を手に持って、凪くんが顔を覗き込んでくる。
その目は、私の気持ちを見透かしていそうで。
「……Aはレオのとこ、いきたい？」
「え、」
掠れた息が漏れる。その目は決して逸らされない。
「あ」手が震えて食べかけのモナカが落ちる。
なにしてんの、と凪くんがゆっくりしゃがんで拾って、オレンジのアイスが入っていた袋に入れてしまう。
玲王が別れた。それを聞いた時、正直また告白しようとは思わなかった。玲王におんぶされながら告白した日のような熱烈な想いは、きっとない。だって2回も振られたんだ。もういい加減諦めさせてほしい。
でも、
「お前、俺に本気で欲しいと思われたらどうなるかわかってんのかよ」
……でも。
初めて見た玲王のあの表情と声が、焼きついて離れない。
恋ではないんだ、多分。未練とも違う、何か。
きっともう恋ではないはずのこの感情に、なんて名前をつければいいのか分からない。
「……もー帰ろ。暑い」
私の返事を待ちきれずに歩き出した彼は以前のように手を繋いではくれない。手を伸ばして、しかし宙を彷徨って、止める。
____凪くんこそ、真凜のところに行かなくていいの。
開きかけた口を閉じる。これを言っていたら、また違う未来があったのだろうか。
卑怯な私はその言葉を胸にしまいこんで、そのゆるい後ろ姿に向かって足を踏み出した。
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はむスター(プロフ) - 夜夏さん» 凛くんの強者感が滲み出てますね😂 (2023年2月9日 17時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
夜夏 - 凛ちゃんの『勝った』が、めっっっちゃ好きです…！ (2023年2月8日 22時) (レス) @page46 id: 8f15f4a9c1 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - みはさん» ありがとうございます！夢主と同じ気持ちでお読みいただければと思います💪 (2023年2月7日 10時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
みは - ここからどうなるのかドキドキです😭🫶🏻 (2023年2月6日 21時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 咲菜さん» 守るためとはいえ嘘をついて自ら離れていく選択は辛いものがありますね😢長い間お読みくださってるんですね、ありがとうございます！☺️これからもワクワクしながら読んでいただけるよう頑張ります！💪 (2023年2月6日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月20日 17時
