50-帰り道 ページ1
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「あれ、今日は自転車じゃないんだ」
「あ、そうなの。今朝雨降ってたからバスで来たんだよね。だから帰りもバス」
「じゃ、バス停まで送る」
「ありがとう」
勉強が終わって玄関で靴を履き替え、校門まで続く道を歩きながらそんな会話をする。
隣を歩く彼の横顔をちらっと盗み見る。夕陽の影が落ちてしまっていてあまりよく見えない。でも、唇の輪郭ははっきりと認識できて。
嫌でも意識してしまう。まだ、唇が熱い。
凪くんとキスしてしまった。それも2回目。
普通の恋人なら当たり前のことかもしれないけど、私達は普通の恋人じゃないから。
「もうすぐ夏休みだね」
自分自身の気分転換も兼ねて、明るい話題を振ってみる。
「うん。やっと一日中ゲームしてダラダラできる」
「えー？それはないんじゃない？玲王が凪くんのこと放っておかないでしょ。絶対『サッカーやろうぜ！』って連れ出しにくるよ」
「現実に円堂守はいらない……」
玲王に振り回される夏休みが想像できたのか、凪くんは絶望的な表情をしてトボトボと歩く。
「Aは？夏休み、どう過ごしたいの」
「私はそうだなー、多分部活漬けの日々になるんだろうけど、やっぱり夏っぽいこともしたいなー。夏祭りとか行きたいし！あと花火大会とか？」
「うへぇ、混んでそー」
「人多くて賑わってるのが楽しいんじゃん！凪くんはやっぱり人混みとか嫌い？」
「うん。でも、Aとならいーかもね」
少し首を傾けた凪くんに「一緒に行く？夏祭り」と目を覗き込まれる。
凪くんに誘ってもらえたことが嬉しくて「行く！行きたい！」と挙手しながら賛同した。
私の食いつきっぷりに驚いたのか、微かに目を見開いたが、前に顔を逸らして首後ろに手を当てながら「……じゃあ決定ね」と静かに返事した彼はどこか嬉しそうだった。
やった。凪くんとの夏らしい思い出1個ゲットだ。
校門を通り抜けたところで、横から「ん」と手のひらを空に向けた片手が差し出される。
その意味が分からないほど鈍感ではない。頬にかぁっと熱が走る。
ドキドキと震える心臓を抱えながら、彼の手に自分の手を重ねようとした瞬間だった。
「なーぎ」
玲王が凪くんの肩に手を置きながら現れた。
「レオ」
自然と引っ込められてしまった手。
触れることができなかったその体温に妙に寂しさを感じつつ、行き場を失った手はスカートのポケットの中に辿り着いた。
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はむスター(プロフ) - 夜夏さん» 凛くんの強者感が滲み出てますね😂 (2023年2月9日 17時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
夜夏 - 凛ちゃんの『勝った』が、めっっっちゃ好きです…！ (2023年2月8日 22時) (レス) @page46 id: 8f15f4a9c1 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - みはさん» ありがとうございます！夢主と同じ気持ちでお読みいただければと思います💪 (2023年2月7日 10時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
みは - ここからどうなるのかドキドキです😭🫶🏻 (2023年2月6日 21時) (レス) id: 48943adb31 (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - 咲菜さん» 守るためとはいえ嘘をついて自ら離れていく選択は辛いものがありますね😢長い間お読みくださってるんですね、ありがとうございます！☺️これからもワクワクしながら読んでいただけるよう頑張ります！💪 (2023年2月6日 16時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月20日 17時
