33-再会 ページ34
.
目を開けていられない程の光に包み込まれて、そのまま意識を失ってしまった。
どのくらい時間が経っただろう。徐々に眠りが浅くなっていく。……なんだか、体が妙に熱いし関節が痛い。もしかして俺、体調崩してる？風邪引いた？
うわ、最悪……。
折角荷造りしてたのに。
起きて苦しい思いをするくらいなら、もう一度寝てしまおうかと考えた時だった。
ぴとっとおでこに心地良く冷んやりとしている手が触れた。誰だ……？
生憎一緒に暮らしているルームメイトなんていないから、一体何者だと面倒くさいけどゆっくりと目を開ける。
そこには、今俺が暮らしている家のじゃない天井があって、そして。
「(どうしてっ……)」
夢か現実が理解できないままに、俺が眠るベットの側にいた彼女の手首を掴んで引き止める。振り向いた彼女と目が合う。熱のことなんてこの時だけは綺麗さっぱり忘れてしまった。
夢？
現実？
どーいうこと……？
彼女は俺を安心させるように、控えめに笑う。
「凪くん、ごめんね、起こしちゃった？」
「A……？」
「うん」
「何でAが……！」
A。
Aだ。
Aが、いる。
何で？どうして？
疑問だけが募っていく。
ただただ、目を丸くすることしかできない。掴んだ彼女の手首からは脈を感じる。生きている音がする。
絶対にいるはずのない彼女が、確かにそこに存在している。俺の記憶の中と一切変わりのないAが。
もう2度と会えないのだと思っていた。
夢の中にさえ現れてくれない彼女に会う方法なんて思いつかなかった。
夢でもいいから会いたいと願った大事な相手が、今確かに目の前にいる。
Aは「合鍵使って勝手に入っちゃった。ちょっとタオル持ってくるね」と離れていこうとする。その姿に、Aが通り魔に刺されたという知らせのラインが蘇って。慌てて上半身を起こして引き止めた。
「だめ！！どこにも行かないで……！」
「凪くん？」
いきなり声を張ったせいで「ケホッ、」と何度か咳き込んでしまう。喉の痛みに目が潤みつつも、がっしりと手首を掴む。Aが心配げに目を覗き込んでくる。
ああ、Aだ。
俺の大好きな子。
手首を掴む力に自然と力がこもる。
「大丈夫？今飲み物取ってくるから」
「いらない、だからここにいて」
お願いだから、もうどこにも行かないで。側にいて。
俺を置いていかないで。A……。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 772人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ブルーロック」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はむスター(プロフ) - 桜もちさん» 私もお気に入りの作品なのでそのようなコメントをいただけて嬉しいです😭☺️ありがとうございます頑張ります！ (2023年4月6日 18時) (
レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - ＋...?葵＊一等星?....＋さん» いつもお読みくださりありがとうございます！☺︎素敵なコメントしていただけて嬉しいです😭 (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - るかさん» ありがとうございます！ (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
桜もち - 大号泣でした😭😭😭最高すぎる作品をありがとうございます🥰更新楽しみにしてます！ (2023年4月6日 0時) (レス) @page25 id: f3db4b5563 (このIDを非表示/違反報告)
＋...?葵＊一等星?....＋(プロフ) - いつも読ませて頂いています！この作品凄く好きで泣いてしまいました^^;応援してます！ (2023年4月4日 19時) (レス) @page25 id: b5a485c64e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はむスター
| 作成日時：2023年1月11日 23時
