32-7年後 ページ33
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サッカーだけに集中して、サッカーだけをする日々。
立ち止まる暇なんかなかった。いらなかった。
Aがかっこいいと言ってくれた自分で在りたかった。
W杯で優勝しても、この足で億を稼げるようになっても、目的を見失ったままただただボールを追いかけ続けた。
そうして7年経って、ある時ふと気づいてしまったんだ。
どこか満たされないままで、日々を過ごしていることに。じわじわと侵食するような渇きを感じていることに。
だってAはいない。
どんなに活躍しても、W杯で優勝しても、億を稼げるようになっても。
凄いね、かっこいいね、て褒めてくれるAはいない。
いない……。
「……なんかもう、いーや」
急激に心が冷めていくのを感じた。
サッカーに疲れた。
生きるのも疲れた。
だって、どんなに頑張ったところでAはどこにもいない。
それに気づいてしまったなら。
生きる意味さえ、見失ってしまった。
かっこつけようとしてらしくもないことばかりしていたから、心が限界を迎えていた。
唐突に日本に帰ろうと思った。日本に帰って、何をするのかはまだ決めていないけれど。一旦、サッカーから離れる時間が必要だった。
レオには引き止められたけれど。「もう7年経ってるんだぞ。そろそろ現実を受け止めて前に進もうぜ」なんて慰められても、俺の心は動かなかった。
時間の問題なんかじゃない。
受け止める?前に進む?
そんなのクソ喰らえだ。
Aは唯一無二の存在なんだ。代わりになれる人なんていない。つーか、別に欲しくない。
俺はこれからもAだけを愛し続ける。
いつでも思い出の中の君に会いにいく。
だから、だからさ……。
会いたいよ、A。
ずっとずっと会いたくて仕方なかった。
Aがいないこの現実が夢だったらいいのにって、いまだに本気で思ってる。
お願いだから会いにきてよ……。
叶わない願いを胸に刻んだまま、日本に帰るべく荷造りを始めた。
そんな中、埃被った箱を開けてみると、見覚えのある紙袋が出てきた。
これは……。
______Aに渡そうとしていた誕生日プレゼントだ。渡せないまま、Aには二度と会えなくなってしまった。
懐かしい一心で、プレゼントのネックレスを取り出す。
すると。
「!?うわ、……」
手にしたネックレスが煌びやかに輝き出し、思わず目を瞑った。
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はむスター(プロフ) - 桜もちさん» 私もお気に入りの作品なのでそのようなコメントをいただけて嬉しいです😭☺️ありがとうございます頑張ります! (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - +...?葵*一等星?....+さん» いつもお読みくださりありがとうございます!☺︎素敵なコメントしていただけて嬉しいです😭 (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - るかさん» ありがとうございます! (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
桜もち - 大号泣でした😭😭😭最高すぎる作品をありがとうございます🥰更新楽しみにしてます! (2023年4月6日 0時) (レス) @page25 id: f3db4b5563 (このIDを非表示/違反報告)
+...?葵*一等星?....+(プロフ) - いつも読ませて頂いています!この作品凄く好きで泣いてしまいました^^;応援してます! (2023年4月4日 19時) (レス) @page25 id: b5a485c64e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2023年1月11日 23時