28-取り残された彼氏 ページ29
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Aは11時過ぎに何故かこの公園にいたらしい。
そして通り魔に襲われかけていた小さな女の子を守る為に自らが囮となって庇ってしまったのだと。
最早この情報をどこから聞いたのか覚えていないし、公園からどうやって家に帰ったのかすら記憶がない。ただただ、Aはもうこの世にいないという事実をいつまでも受け入れられる気はしなかった。
A、どうして11時にこの公園にいたの?
待ち合わせは15時だったじゃん。
何で勝手にいなくなるの______。
問いかけても、答えてくれる彼女はもういない。
不思議と涙は出てこなかった。Aはもういないなんて認められなかった。だってまた明日ねって、そう言って昨日別れたから。また明日って、……。
すぐにはAが亡くなったという事実を頭が理解することができなくて。
A、趣味の悪すぎるドッキリをしてるんじゃないの?いつも無表情な俺を驚かせようとしてるんでしょ。降参だよ、もう十分驚いたから。お願い、早くネタバラシしてよ。「凪くん引っかかったー!」って思う存分笑っていいからさ。だから、早く出てきてよ。
……会いたいよ、A。
『A、今どこ?』『いつまでも待ってるから』Aと迎えるはずだったその日の夜、そんな言葉をラインで送った気がする。でも既読がつくことは2度となかった。また未読無視をするAに戻ったんだって必死でそう思い込んだ。返信はしなくてもいいから、せめて既読くらいつけてよ。
Aからのドッキリのネタバラシはないまま、数日が過ぎた。月曜日、俺はいつも通り遅刻ギリギリの時間に学校に向かった。校舎に足を踏み入れた瞬間から、なんとなく異変を感じ取った。普段よりも大分静かな廊下。教室さえも異世界のように思えた。男女問わず泣いている人がいて、……Aの机の上には白い花が飾られていて。
それを見た瞬間、眩暈がした。気分が悪くなった。肺が馬鹿になって息がうまくできない。
Aはもう、死_____。
浮かんだ文字。しかし、脳が読み取るのを拒否する。立っているのもきつくなって、壁に手をつく。心臓が針に刺されているみたいに痛い。
冗談じゃない。違うんだ、Aは俺にドッキリをかけているだけなんだ。
だって約束したから。また明日ねって、誕生日をお祝いするって。約束、したから……。
床に膝をつく。大して話したこともないクラスメイトの焦った声が聞こえたのを最後に、意識を手離した。
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はむスター(プロフ) - 桜もちさん» 私もお気に入りの作品なのでそのようなコメントをいただけて嬉しいです😭☺️ありがとうございます頑張ります! (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - +...?葵*一等星?....+さん» いつもお読みくださりありがとうございます!☺︎素敵なコメントしていただけて嬉しいです😭 (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
はむスター(プロフ) - るかさん» ありがとうございます! (2023年4月6日 18時) (レス) id: 311247fabe (このIDを非表示/違反報告)
桜もち - 大号泣でした😭😭😭最高すぎる作品をありがとうございます🥰更新楽しみにしてます! (2023年4月6日 0時) (レス) @page25 id: f3db4b5563 (このIDを非表示/違反報告)
+...?葵*一等星?....+(プロフ) - いつも読ませて頂いています!この作品凄く好きで泣いてしまいました^^;応援してます! (2023年4月4日 19時) (レス) @page25 id: b5a485c64e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はむスター | 作成日時:2023年1月11日 23時